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「炭治郎、なぁ炭治郎。守ってくれるよな? 俺たちを守ってくれるよな? Aちゃんだって炭治郎に守ってもらいたいって思っているよね!?」
我妻さんが泣きベソをかきながら私に同意を求める。私はそんなことは思わない。
「......私は自分の身は自分で守りますので大丈夫です」
「Aちゃん......」
我妻さんが何かを求めるような目つきで私を見つめるが、私は首を振った。
ごめんなさい。我妻さん。私は他人の命を守れるほど強くないのだ。
我妻さんは更に涙を流す量を増やしている。
「......善逸。ちょっと申し訳ないが、前の戦いで俺は肋と脚が折れている。まだ完治はしていない。だから」
竈門さんの発言で頭が真っ白になる。
えっ......? 骨折をしているというのに竈門さんはぴんぴんと動いている。
しかもこれから鬼を狩るのだから怪我は免れない。
竈門さん。無茶をし過ぎてはないか? 下手したら死は免れないぞ。
我妻さんが何やら泣き叫んでいるが、彼の発言は私の耳を通り過ぎていく。
「駄目だ!!」
「ギャーーーーーーッ」
竈門さんが声を荒げた。
今度は一体何が......
竈門さんの見つめている方向へ振り向くと、そこには先程の少年少女がいた。
「お、お兄ちゃん。あの箱カリカリ音がして...」
「だっ...!! だからって置いてこられたら切ないぞ。あれは俺の命より大切なものがなのに...」
竈門さんの発言に疑問を覚える。あの箱はおそらく鬼が入っているであろう。
でもそれを竈門さんは命より大切なものだって...
ミシッ
ギィィィィ
ミシッ
ミシッ
異質な音が屋敷中に響き渡る。
そして。
ポン
まただ。また。あの鼓の音がして。
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作者名:名無し丸 | 作成日時:2021年10月12日 19時