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「よし。善逸、清子。助けに行くぞ」
「はい、すぐにでも行きましょう」
私はその場から動こうとしたが動けない。
理由はすぐに分かった。我妻さんが私の手を握ったまま動かないからだ。
「......。」
「我妻さん......?」
我妻さんに声をかけるが、彼は顔を真っ青にし、汗をだらだらと流し、まるで地蔵のように固まったまま動かない。
我妻さんは首を左右に振った。
これは、屋敷に行くことを拒否していることになるが......
炭治郎さんの顔を見ると、まるで般若のような顔をして我妻さんを見つめている。その顔がとても、怖い。
私は竈門さんの顔を見て悟った。この人は絶対に怒らせてはいけない人だと。
「そうか、わかった」
「ヒャーーーッ、何だよォーーー!! なんでそんな般若みたいな顔すんだよォーーーッ、行くよォーーーッ」
ようやく、私の手を離した我妻さんだが、今度は私の背後に移動した。
「無理強いするつもりはない」
「行くよォーーーッ」
どうやら、竈門さんの説得? によって我妻さんも屋敷に行くことになったようだ。
ふと、竈門さんの背負っている木箱が目に入った。
あ、あれ? 今気づいたのだが、その木箱から鬼の気配がする。
でも、鬼特有の嫌な気配しない。むしろ優しい気配が木箱から漂っている。なぜだ......?
竈門さんが少年少女の前に座り、背負っていた木箱を二人の前に置いた。
「もしもの時のためにこの箱を置いていく、何かあっても二人を守ってくれるから」
そう告げると竈門さんは屋敷の方へずんずんと足を進める。
私と我妻さんも彼を追いかけるように後を追う。
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作者名:名無し丸 | 作成日時:2021年10月12日 19時