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深く息を吸い込み、吐く。この緊張を抑えるために。
目の前にいる父はいつも深い眉間の皺を更により深くし、こちらをじっと見ている。
「それでは行って参ります」
「......あぁ」
父から淡白な言葉を貰った。
今日は大切な日だから本当はもっと別の言葉が欲しかったけど、無口な父のことだからそんな期待はしない。
今の言葉の中に色々な気持ちが入っているとそう考えることにした。
戸を開けると太陽の光が燦々と私の身に降りかかる。
戸を閉める瞬間。
必ず生きて帰ってこい
私の背後から父のそんな言葉が聞こえた。
父からの思ってもなかった言葉でじんわりと目頭が熱くなる。
ありがとう、お父さん。必ず生きて帰ってきます。
もう家から出てしまいその言葉が聞こえるかは定かでは無いが声に出す。
言いたいことは口に出さないと伝わないのだから。
私は力強く土を踏みしめ、最終選別の会場へ足を進めた。
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作者名:名無し丸 | 作成日時:2021年10月12日 19時