【歌い手】僕ら、君の狼。

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「…っ、ん…？」



うっすらと光が差し込んで、その眩しさに眉を寄せる。

いつのまにか寝ていたようだ。

何だか小さい時の夢を見た気がする。

そう、特に最近頻発してみる夢。


動画投稿のことの発端は、その記憶だった。

まだ自分が幼くて…まぁ、多少は可愛げのあった頃のことだ。

今では女子力なんて、とっくの当に諦めている。


少し伸びをして、パソコンに目をやった。

投稿してから２日立つけれど、未だサイトを一度も開いていない。

というか、再生数だとかコメントだとか、どうでもいい。

…『あの子』が聞いてくれるかもしれない、なんて我ながらメルヘンだなとは思う。

でも、それぐらいしかやることがなくて。

何か新しい世界を見つけたくて、投稿した。


そうはいっても、あの頃と大分声は変わってしまっている。

変声期？という奴が女子にも来るのだろうか、自分はとんでもなく声が低い。

中学生あたりで高音が出なくなって、女子力というものに元から興味のない自分には丁度良すぎた出来事だった。

小学生の頃から他の子に比べても、それほど高い声だったという訳でもない。

でも、さすがに分からないだろう。性別も明かしていないわけだし。



結局『声が届いて』欲しいのか、欲しくないのか。

自分でも意志が決まらずに、サイトを開いた。

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