【歌い手】僕ら、君の狼。

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*


翌日。



「お、お待たせしましたあああああああ…！」
「遅い」



玄関の前で仏頂面で立つお方は、そらるさん。

もう、朝から何だか扱いが酷い。



「どうせ昨日寝てないくせに楽しみすぎて早起きして、念入りに身支度整えてたんだろうが」
「何でわかったんですか！？」
「お前は遠足に行く小学生か」
「いやー…昨夜、急用のMIXの依頼が来ちゃって」
「で、張り切って熱中してしまったと」
「…はい」



もう返す言葉も無い。

ここまで見抜かれていると、

たまにそらるさんは千里眼の持ち主ではないのかとさえ疑う。



「…まあ、いいんじゃないの」
「え？」
「今日は一段とお前の隣に立ちたくない」
「ちょ、そらるさん！？」



その言葉の真意が測りきれずに聞いても、

そらるさんは足早に歩き始める。

もう、本当に勝手…



「あー、もう、だから！いつも隣に立ちたくないぐらい格好いいけど、今日は一段と格好いいって褒めてるの」
「…へ」
「…っ、もうこれ以上言わせんな！」



こちらを見ないで早口で言い切ったそらるさん。

…耳、真っ赤ですよ。

嬉しいなあ、なんて頬が緩んだ。



「ああもう可愛いです、そらるさん！」
「はぁ！？ちょ、ベタベタすんな…！」



思いっ切り抱き着けば、べりっと引き剥がされた。


こういう一面があるから、そらるさんのこと大好きだ。

勿論、恋愛感情じゃない方で！



「そうそう…『あいつ』にも、格好いいって思ってもらえるよ」
「そらるさん！？」



あたふたする僕を見てにやりとしたそらるさんは、

既に通常営業だった。

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