【歌い手】僕ら、君の狼。

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丁度眠くなりそうな昼下がり。

天気がいいためか、外を歩く学生は多く見かけられる。


まぁ、あそこには誰も寄らないしね。

と、自分だけの穴場スポットへ。

少し奥に行った所にある木々に挟まれた場所で、

大きめの声で歌っても周囲に聞かれることがないのが、更に気に入っていた。


でも、今日は何だか違った。

…人の、声……？

いつもは静かすぎて聞こえると言えば鳥の囀りぐらい。

な、はずのその場所から音が聞こえてくる。


その方向に進むと――――…



「――――え…？」



少し開けたその場所に、見覚えのある『ある人』がいた。

それも、歌いながら。



「…黒白炉？」
「…るす…か？」



ぽつり、と呟いた声が相手にも届いたようで、

『ある人』――――黒白炉がゆっくり振り返った。

僕の名前を、呼びながら。


今日もモノトーンスタイルで、

黒髪銀メッシュのポニーテールは相変わらず。

そして、僕が突然現れたというのにも関わらず、この落着き様。

何をとっても、この前のまま。



「奇遇、だな」
「…僕も、ここにいていい？」
「勿論」



イヤホンを外して、黒白炉の動画を一時停止させた。

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