【歌い手】僕ら、君の狼。

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「あとで追っかけまーす」


るすさんはそれだけ言って、皆の輪から離れて行く。

用事があるらしい。

当の俺はというと、先程から９６猫さんに絡まれていた。



「黒白炉ちゃん、アドレス交換しよう！？そしてメイド服を着よう！？」
「メイド服は嫌です。アドレスならどうぞ」
「きゃああああああああああああああ！黒白炉ちゃんのアドレスっ…！それとさん付け敬語なしね！」



メイド服についてスルーされたことは毛頭に無いらしく、寧ろテンションは上がったようだ。

こんな低いテンションの俺に付き合ってくれるなんて、ちょっと意外。

無表情なのは小さい頃からで、そのおかげで友達など一人もできなかった。

…まぁ、あの子を除いてだけれど。



「そういえばさぁ、まふ君とうまくいった？」



そう言う９６猫さ…９６の質問に、クエスチョンマークが浮かぶ。



「まふ君さー…見ての通り『コミュ障ヒキニート厨二病者男の娘』って感じでしょ？」
「そうか？」



第一印象はどちらかというと、緊張しすぎているように見えた。



「だってさ、それなりのイケメンだと思うんだよ。身長だってあるし…！」
「…まぁ」
「ちょ、今黒白炉ちゃん笑ったねー！？」



９６の身長は推定１４０cm代、それに比べて確かにまふは１８０近くあった気がする。



「…まぁ、いい人だとは思ったよ」
「おー、中々の好感触！？」



目を輝かせて、何かを企む顔。

…何を期待しているんだか。

９６との会話を、必死に聞き入っている本人がいるとは知らなかった。

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