【歌い手】僕ら、君の狼。

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正直言って、まだ実感が湧かない、というのが本音だ。

自分でも戸惑う程の人気の出具合に、若干どころか大分引いている。

今までTwitterアカウントは登録せずに歌い手さんのTwitterを閲覧しにったりはしていたが…

自分の名前を見るたび、少し気まずくなる。

…こんなことになるとは。


初投稿の日から数週間。

昨日、やっとコミュを開設した。

そろそろ生放送をする潮時かな、とも思う。



「…？メール…？」



無機質な音がして、スマホの画面に目をやる。

そういえばTwitterに『用があれば』と言って、gmailのアドレスを載せたような気もする。

…たぶん。


勿論差出人は全く見覚えが無いアドレスだ。

そもそもメールを貰う相手が自分にはいない。

ええ、そうです。ぼっちですとも。



『黒白炉様
　 この度はメールをさせていただき、ありがとうございます。
　 ○月○日、東京公演のライブ出演を予定したいのですが―――――――――…』



「…！？」



とんでもない文面を目にした気がする。

いくら何でも、それはない。

しかし何度読み返しても文面が変わることはなく、『ご検討の程よろしくお願い致します』と某会社がご丁寧に締めくくっていた。


そろそろ投稿して１カ月は経つが、いくら何でも早すぎる。

そんなの、聞いたことも無い。

まだ、きちんとこの業界に向き合うこともできていないというのに。




「…はぁ」




大きく溜息を吐いて、少し決意したようにヘッドフォンを手に取った。

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