４話 ページ6
アジトに着き、静かにゆっくりと戸を開ける。
隙間から中を覗くと多種多様な獣人が集まっていた。 ただ、気になるのが明らかに獣人…というか人間じゃないやつがいる。モンスターやそのまま獣というわけではなく…どちらかといえばゴースト？あれも何か、リンクの一種だろうか…。
平然と獣人達はその存在を深く気にはしていない…いや、チラチラとそいつを見るものは何人かいるが。そいつと話している長い白髪の女は若干警戒しているようにも見える…。
「ねぇ、貴方は何をしているのかしら？」
突然、僅な敵意を孕んだ声を掛けられ後ろを振り返った。声の主は自分と同じ年くらいであろう女性だ。澄んだ青い瞳が俺を睨んでいる。
「あ…、新しくここに住むんですけど…入っていいのかって見てました。」
不審な者だと疑われないよう、事実のみを伝えると彼女は一変しあたたかな笑顔で歓迎し、扉を開く。ちょっとその変化の速さが怖かったのは黙っておく。
「そうだったの！話は聞いているわ。じゃあ中に入っても大丈夫よ、緊張しないで！」
「はい…。あ、俺は…」
「確か…、書類にあったわね…。ええっと…シオン君？」
彼女はカウンターから１枚の紙を取り出し俺の名前を確認。
「あ、はい。スミマセン…貴方は誰ですか？」
「私？そういえば事前にいってなかったかしら、アーデイン・ブルーベルよ。短くアディーでいいわ」
にこやかに自己紹介をする姿に上品な人だなと思った。ペコリと会釈をし、まず俺は何をすれば言いか聞く。荷物整理か、挨拶か、書類記入か。ちゃっちゃと済ませて休みたい。
「あの、俺は何をすればいいんですかね」
「シオン君。貴方には色々手続きがあるからまずは…」
「アディー！」
さきほどゴーストさん？と話していた白髪の子が少し焦りながら話を遮った。ゴーストさんは、今はいないらしく姿がない。
「さっき、なんというか幽霊みたいな男の子がきて…ってあれ？どこいったんだろ。」
キョロキョロと首を左右に動かしてさっきのゴーストさんを探すが、彼女がしずくーと呼んでも返事はこな…
「ばあっ！」
「うおわっ！？」
なにもない場所の、しかも俺の耳元で叫んだと思えば一瞬で姿を現し、
「ふはっ！驚いた君、変な顔！ははははっ！」
俺を脅かしたあと彼は笑い転げた。失礼な奴だな。呪われるかと思ったが、彼はその類いのホラー系ゴーストではなさそうだ。また脅かされるかもという別の心配が増えたが。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒夏 | 作成日時：2018年3月30日 11時
