22話 ページ24
side 獣人・シオン
アジトであるマルシにつくと、中に獣人は数える程しかいなかった。その数人も怪我人ばかりで、その傷や血を見ると教会近くで見たあの光景を思い出されて吐き気と寒気が甦る。
怪我人の中にアディーを見つけて、報告しようと近寄る。
「あぁ、おかえりなさい。シオン、シズク、氷河。」
彼女は労いの言葉をかけてくれるが、右足に深くはないが大きな傷があり直視できない。
「貴方達が無事に帰ってきてくれて良かったわ。疲れている所さっそくで申し訳ないけれど、何か聞かせて頂戴?」
アディーは救護班の1人から紙とペンを受けとると真剣に俺達の話をひたすら書き留めていく。
沢山の獣人が虐殺されたこと、その場所、大体の人数、建物なんかの状態、ハンターが雫というのを探しているということ、そしてそのハンターの名前と容姿の特徴。
あらかた話終えると、一呼吸ついて彼女は指示を出す。
「今、他の獣人達は皆ハンターと応戦したり街の人たち救助しているの。出来たら応援に行ってくれるかしら。一応備えは出来ていたから物資に不足はないからそこだけ安心して。」
詳しい話は帰ってきてから、と付け足すとアディーは自分で足の傷の処置を始める。
その日のうちにハンターは引き返したけれど、それ5日間は瓦礫を退けたり修復作業や、行方不明者の捜索をしたりして帰っても話を聞く余裕はなかった。
10人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:黒夏 | 作成日時:2018年3月30日 11時