獣の海と雫の方舟 (ページ18)

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１６話ページ18

シズクは俺とメガネのハンターを交互に見る。俺を心配しているが、メガネのハンターの元へは行きたくないのだろう。

「…シオン…。おいら、行ってくるから待っててね！」

シズクは彼の元へすぅっと移動した。銃口が突きつけられる力が緩む。一瞬安心したが、まだ油断してはいけないと自分に言い聞かせる。

「あぁ、待っててとは言わずに、そいつも連れていくから雫もお前も安心しろ。すぐには殺さないさ。」

安心なんて出来るかくそっ！あのハンターのメガネを叩き割りたくなった。できない現状がむなしい。
シズクの甲高い声が脳に直接響く。

「ねぇ、ハンターさん！新人君は駄目だよ！結局殺されるんならおいらがここで逃げても一緒じゃん！」

「違うさ。おまえの目の前で酷い殺しかたをするのか、楽に死なせてやるのかという大きなさがあるだろう。」

シズクはまた、質問をした。

「…それに！おいらは何処に行くの？ハンターさんの名前は？？」

名前など今必要ないのだろうが…。彼は冷たく一言だけ。

「さあな。」

俺の側の奴が代わりに答えた。高揚しているのか光のない目を大きく見開いた笑顔で説明する。

「夜汝は夜汝なのです。そして、この方がサルグ様なのです。お前は方舟に連れていかれ、雫として利用されるのです！」

ばばんっ！と効果音がついてもおかしくないようなどや顔で言われると、ちょっと反応に困る。漆黒の瞳がつやつやと光っている。

「……り、利用？」

「お前が知ることではない。」
ハンターの青年は俺を一睨みすると夜汝に来いと視線で合図すると歩き出した。