14話 ページ16
数分走って、人の姿が見えた。ここにも、まだ生存者がいた。ほんの少し安心して、話しかけようとする。
「……あ。」
その人は、振りかえった。服が血で赤くなっているが、目立った外傷もなく、血で汚れている以外は綺麗な状態の服。
そして、手には黒々と鈍く光る銃。
ぞわり、と悪寒が走る。
「…まだ、邪魔がくるか…。」
はぁ、とけだるそうなため息をひとつ吐くと俺に銃口を向けて問いかけた。
「俺を邪魔するつもりか。」
無論、俺はこう答えた。
「あぁ。お前が皆を殺すなら。」
もうひとつ、問いかけた。
「雫は、どこにある。差し出すのなら命は取らない。」
雫、しずく…。俺は、あのバカで手のかかるやつの顔を思い出した。いや、でも名前が同じだけで…。
すぐに知らないとははっきりといえない俺を見て、何か知っていると察した彼は脅しか俺の足元をうってきた。
「知っていること、雫に関する事を全部吐け。」
拒否権などないと言わんばかりのオーラ。
そして、
「おいらがシズクだが!なんのようだ!」
安定の空気の読めないシズク。あいてのハンターだって意味がわからないという顔だ。
せめて姿は消しておいて欲しかった。
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作者名:黒夏 | 作成日時:2018年3月30日 11時