獣の海と雫の方舟 (ページ14)

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１２話ページ14

幸い、行きはおとなしくしてくれた。ただ我慢しきれなくなったのか、帰り道は質問攻めだった。
まるで幼子のようなシズク。姿はみえないが、きっとあたりを見回しては瞳を輝かせて俺に質問しているのだろう。

「ねぇ、ねぇ、あれなぁに。」
「あれは、噴水って言う…」
「あれは？なに？」
「あれは、風船って…」
「あれはー？」
「…。」

せめて、最後まで説明を聞いて欲しい。

何度も同じようなやり取りが繰り返され、段々と苛立ちと面倒臭さを感じ始めた。俺と同じ日に来たらしいので、あれから２ヶ月。流石に知っているものもあるだろうが…。

ダァンッッ！！………

そのとき、鼓膜がやぶれそうになるほどの大きな銃声が響いた。鳥達が逃げるように飛び去っていく。
一発では終わらない。何度も、何度も聞こえる銃の音。複数人によって行われているのか最初の特に大きな銃声を合図に撃ち続けている。
遠くで悲鳴や、助けを求める叫び声が聞こえる。

始まったのか。嘘ではなかった。
小刻みに肩を震わせながら、シズクは始まるだろう悪夢を恐れるように問いかける。

「ねぇ、今のは…、なあに…。」

「今、の、…」

声が、震えているのが自分でもわかった。
声だけでなく足まで震えて物怖じしているだけでは現状は何もよくならない。深呼吸をして、ゆっくりと、しっかりと伝える。

「…銃を撃つ音。この騒ぎ、シズクの言ってたやつ…だよ。」

___ハンター襲来。