黒尾さんと可愛い方の及川さん (ページ6)

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おいかー君に頼んで呼び出したAは今までなら考えられないが彼氏が好きで大切だと言葉を述べていた。
俺にもいつもはベタベタしていたのが一切無く、きっとAから触れる事はもう無いのだと悟った。

１年のときから見て来たどんな顔より、彼氏クンの側に居る時の他愛無い雑談中の顔すら可愛くて悔しく思うのと同時に、本気で好きなんだなって見せしめられた気がした。

｢俺はさAの事を本気で好きだけど、この気持ちどうしてくれるの？｣

｢クロちん、弟の俺いるから今告白はやめて？！｣

｢知ってる。好きになってくれて本当にありがとう。
てっちゃんと知り合えて仲良くなれて楽しいの。
…優しいてっちゃんには幸せになってほしいな。｣

狡い。本当に狡い女だと思った。
散々振り回して可愛さ振りまいて、あっさり他の男に行った。
…あっさりって言うが過程は知らないし知りたくは無い。彼氏クンは中学から片思いなんだっけ？
余裕ある顔して余裕無さそうな子だったな。

｢はは、最後まで狡いよAちゃん…
俺はまだお前の幸せ願えるほど割り切れないからさ、別れたら連絡ちょーだいよ？｣

｢…別れないよ｣

最後に見せた困った様な笑い顔は俺だけのモノだな…と無駄な虚栄心。

帰る後ろ姿はこちらを振り向く事はなかった。
ホント…Aの事を変えた彼氏クンに嫉妬してしまいそうだ。
おいかー君にもかっこ悪いところを見せたなって取り繕う余裕は今は無い。

……明日からはいつも通りにするからさ、すこし、ごめんな…
本気で好きな奴なんだよ。
幸せなんて願ってやるほどお人好しじゃない。

別れてしまえばいいと願うくらい。

｢あんなに良い女になられたら諦めつかねぇよ。｣

見上げた夜空は願いを掛ける星すら無い。
終わりに、したくねぇけど…もう、無理なんだろうな。