前世戦闘系審神者は鬼を狩りまくる。2

番外編2〜夢に入った人間〜 ページ6

「…………」
「ここで、なにをしようとした？」

思わず黙り込んでしまう。

「……ふぅ。ここは綺麗だろう？」

そんなことを聞かれついぽかんとしてしまう。殺されると思っていたからだ。

「あなたは……だれ？」
「さぁな。ただ……主を守りたいとずっとここに残ってる愚かなモノだ。」
「モ……ノ？」

夢の中のあの人たちも、主と言っていた。

「あぁ。早くここから出て行け。」
「いやよ。それを壊さないと、夢を見せてもらえないもの。」

壊さないと幸せな夢を見せてもらえない。そっちのほうが嫌だ。

「人間はやはり弱いな。」
「え……？」
「どうしてそんなに夢に縋りつく。」
「あなたにはわからない。」
「そうだ、俺にはわからない。俺はモノだから。」

この人、意味が分からない。つい眉にしわを寄せてしまう。

「幸せな夢でも、いつか壊れるぞ？そして、後悔する。」

つい後ずさりしてしまう。
その時、音を立ててこの空間が壊れ始める。

「なっ？！」
「主が目を覚ましたようだな。もう戻れ。」
「いや！！」
「戻れと言っている。つらくとも現実から目をそらすな。受け止めてつらくとも、前を向いて最後まで生き続けろ。」

その時グッと後ろに押されいつの間にか汽車の中に戻っていた。
目が覚めたらほかの子も同じように目を覚ましていた。
顔に傷のある男の子の夢に入った子はどこか泣いているようだ。

「……生き続けろ、か。簡単に言ってくれるよね。」

最後の時まで生き続けてみよう。
そう思った。

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