前世戦闘系審神者は鬼を狩りまくる。

番外編２〜顔に執着する鬼の話〜 ページ20

鬼になってからまず私はあの女を殺しに行った。
なぜ、殺したか、聞きたかったから。
あの女曰く、私の母さんが父さんを取ったと。
自分より不細工の分際で許せなかったんだ。と。

怒りが溜まっていき、見るも無残な姿で殺した。

それでも怒りは収まらず、顔のいいやつを狙っていった。
あの女を殺しているようでとてもすっきりした。

ある日、ふと、この者たちの皮を被ればどうだろうと思いやってみた。

自分とは違う自分に生まれ変わったようでとても足が軽かった。
人間の、自分を見る目が違う。


だけどそれも終わりが来るものだ。
ある美形の男を上に放り投げた際、刀を大きく振りかぶったかと思いきや斬撃を繰り出してきた。

ころりと、音をたて頸がおちる。

そして嫌な音をたて顔が熔けていく。

ああ、いやだ、やめて。私の顔、せっかくせっかく集めた顔が。
自分の頸に精いっぱい手を伸ばす。

「それはお前の顔じゃない。」

あの男が言った。
そう、あれは私の顔じゃない。
だけどいいじゃない。少しくらい夢を見たって。幸せになったって…

「綺麗な顔のやつには…わからないよ。」

皮肉めいてそう言い残してやると

「……わかるんだけどなぁ。」

と、どこか悲しそうな声が、聞こえた気がした。

16話→←番外編〜顔に執着する鬼の話〜

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