黒曜石とラピスラズリ【マギ】 (ページ4)

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3.名前ページ4

子供と遊んだ後に青楽(せいがく)は
ようやく帰路についた
赤ん坊をいくつかの金銭と共に預けて
家に着く。すでに日が傾いていた

「おかえり、どうだったよ青楽」

テンが食事を作って待っていた
床にあぐらをかいてすわる

「ただいま、どうにもこうにも一応
なんとかなったよ。
来月迎えにいく。その頃には
ヤギの乳でもいいのだろう？」

産まれてまもない赤ん坊に
人間以外の乳はよくないらしい
なので一時的に預かって貰うことにしたのだ

さすがに家族として
引き取って貰うのは申し訳ないし
なにより青楽自信がそれをしたくなかった

この前に村にきていた時に
臨月にさしかかった女性がいるときいたので
昨日の時点で既に生まれていると思っていたのが
見事にギリギリ的中していた

「それでも、むこうの子どもは
つい昨日産まれたらしい。
あの悪天候の中で。出産は予定されていたより
ずっと遅かったみたいだ」

そう、とうに産まれていたと思っていた。
それがあの日だったことに
青楽は冷や汗をかいた

最初女性は困っていたけれど、
事を詳しく話すと赤ん坊に同情してくれて
こころよく引き受けてくれた

『大丈夫よ！双子だったって
思えばいいことなんだから！』

そういって笑った、輝くような健康的な笑顔

本当に助かる

「そうかい、なら安心だね」

テンはスープをすすりだした
青楽もそれにならい食事を始める

『かわいいこね、この子名前は？』

『…そこに紙が、多分それが名前だと思う』

『A…そう、Aっていうのね
綺麗な青い目、今日の空みたい
この子も昨日産まれたのかしら？
なんだかそんな気がする』

『じゃあ、同じ誕生日ってことですか』

『ええ、本当に兄弟みたいね』

「…A、か」