2.男の子 ページ3
次の日は驚くほどの晴天だった
昨日までの大雨が嘘のようにからりと晴れている
青楽(せいがく)は赤ん坊が
腹をすかしたのか泣き出したので
その子を連れて村へきていた
昨日、赤ん坊を抱えた青楽が
帰ると共に暮らしている老女のテンは
心底驚いていたがすぐに湯をわかし
暖めてやった。
青楽は起こったことを全て彼女に話した
テンはとにかく明日にしようと告げ、
自信も眠りについてその日は終わった
赤ん坊は眠っているのか大人しい
起きられると困るのでゆっくり歩く
村に近付いていくと
入り口にたむろしていた子供たちが
彼に気付いた。顔を輝かせて走ってくる
「せーがく！せーがくがきたー！」
あっという間に囲まれると
青楽は快活に笑い、一人の頭をなでてやった
「元気にしていたか？」
「うん！せいがくはなにしに村に？
しょかんなら新しいのいれたっていってたよ！」
「ああ、ありがとう。でも今日は違う用でね。
最近子を出産した女性がいなかったか？
案内してほしい」
「あ！お前の弟の事だろ？」
誰かがそう言うと皆がある一人に視線を向けた
まだ年端もいかない幼児だった
「案内、してもらっても？」
まだ小さい幼子はきょとんとしていたが
嬉しそうに笑って青楽の手をひいた
「ねえせいがく！後であそぼ！」
「そうだよそうだよ！あそぼーー！」
「いや、すまない。また今度な」
皆、ええーと口を揃えてしぶりながらも
青楽に手をふってまたばらばら遊び始めた
…久しぶりにきたな
どこか様変わりした村を見渡す
いつの間にか眠りだした赤ん坊は
背中のかごにくるんで隠してあった
子供たちの声で起きなくてよかったと安心する
すれ違う村人たちに声をかけられながら
やがてその家へと着いた
「おかあさーーん」
パタパタと幼児が家へとはいっていく
青楽もそれに続いた
「ごめんください」
「あら、おはよう青楽」
女性は青楽をみて微笑んだ
村でいつか見た人だ。基本青楽は村に来ても
子供のあいてくらいしかしないので
村人の顔なんていちいち覚えていない
それでもいつか見た顔だとは思った
「ごぶさたしております、その子が新しい？」
「ええ、昨日やっと産まれたのよ」
なかなかでてきてくれなくて、と女性は笑った
昨日出産をしたというのに
もう立って赤子までだけるのかと驚いた
赤子は赤いな目で青楽を見た
母親と同じ目の色だ
確か弟だといっていたが
「それで、……どうかしたの？？」
「実は…」
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作者名：青海月 | 作成日時：2017年8月12日 13時
