幻影旅団の孤独なお嬢様

＊　３６日目　＊ ページ40

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『････品物が無い？』


旅団の団員８人が一気に乗れるような大きい気球でアジトに向かう私たち。
変装で着てきたシズク姉のお下がりパーカのポケットから携帯を取り出すと、団長に連絡を取った。

金庫に品物がひとっつも無いことを伝えても、団長の声の調子はいつもとさほど変わらなかった。


「うん、金庫の中にはなんにも入ってなかったよ。唯一情報を知ってた競売の進行役(オークショニア)が言うには、一回金庫に入れた品物を数時間前にまた、どっかに移しちゃったんだってさ。予(あらかじ)めこんなことが起こるって知ってたみたいに。」

『ほぉ....』


「A、ちょっと貸せ。」

....「あ、うん。....パパ、ちょっとウボォーおじさんに代わるね。」

『あぁ。』


私の肩をツンツンと軽く叩くおじさんに私の携帯を渡す。
おじさんは力入り過ぎて、たまに携帯壊すからあんまり貸したくないんだけど。


「団長、俺たちの中に背信者(ユダ)がいるぜ。」


....そんなことを言うウボォーおじさんだが、私はそんな人旅団にはいないと思う。


『いないよ、そんなヤツは。それに俺の考えじゃユダは裏切り者じゃない。ちなみにユダは銀３０枚でキリストを売ったとされているが、俺たちの中の『裏切り者』はいくらで俺たちを売る？』

「........」


やっぱりパパは分かってる。この中に裏切り者なんかいない。
私がこの５年間で過ごしてきたみんなはそんな人じゃないって、一緒にいて分かるもの。

ただ、ヒソカは何を考えているか分からないけど。でもパパはヒソカのこと気に入ってるみたいだし、私とも遊んでくれるから結構好き。

たまに愛弟子のパメラを連れて来てくれるから遊び相手も増えるし、嫌いじゃない。


だから多分、裏切り者はいない。........た、多分。


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