少女と記憶

プロローグ ページ1

夢

いつもの夢

同じ夢

視界全体に霧

まわりをみわたそうにも、視線はあるほうへと向けられている

少女だ

赤い髪で赤い瞳の子

少女が言った

「よかったね あの研究所から逃げ出せて」

"研究所"？"逃げだ出す"？

どういうことか聞こうにも、私の口から出たのは違う言葉

「うん、ありがとう お姉ちゃん」

まだ幼い声 私の声であるが、今は違う

「ただの私の気まぐれだから」

少女はそう言って笑う そしてこう続けた

「さっきも言ったけど、本当にいいのね これまでの記憶を消して」

少女の言葉に私の意思と関係なく私はうなずく

「じゃぁ、記憶を消すわね」

少女が私の額に手をかざす

意識が遠のいていく＿＿＿

そんななか、少女の声が聞こえた

「また、会えるかもしれないわね」

目の前が真っ暗になった

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