保護者はだれか ページ16
愛染国俊は聡い子だ。
明石国行と蛍丸の葛藤も、黒丸国光の戸惑いも感じ取っている。
愛染国俊は良い子だ。
来派が仲良くできることを願っている。
愛染国俊は、とてもとても優しい子だ。
だから、前を歩く二人のことを呼び止めた。
「蛍、国行。」
いつもと何ら変わりない声色で、二振りの名を呼ぶ。黒丸は、ぎくりと肩を震わせた。呼んで、どうする気だろうか。先の見えない不安感が背筋を這い上がる。
振り返った二人に、愛染は言った。
「飯食おうぜ！俺、腹減っちまった！」
昼時にはあとほんの少し早い時間だったけれど、仕方がないなという顔をして二人は荷物をあさり始める。出したのは、歌仙兼定と燭台切光忠が心を込めて作ってくれた弁当だ。
木陰に座り、四人で輪になって弁当を広げる。愛染国俊と蛍丸のものには、明石国行に比べるとたこさんウィンナーや唐揚げなどが比較的多く、子供の見目の者に配慮したことが伺える。目をキラキラさせて喜ぶ二振りに、黒丸国光もくすりと笑みを漏らした。
黒丸国光も弁当を開ける。野菜類が多く彩りも豊かな弁当で、なんとこちらにもたこさんウィンナーが入っている。ご飯の上には卵と肉のそぼろがそれぞれ乗っている。
『あらあら・・・。』
黒丸国光はこれを「おいしい」と知っている。嬉しくて思わず出た声に、三振りがこちらを見た。
「おっ！たこさんウィンナーお揃いだな！！」
『おそろいですねぇ。』
「蛍もお揃いだよな！！」
ほけほけと笑う黒丸国光と、豪快に笑う愛染国俊。突然巻き込まれた蛍丸はこれ以上ないほどに焦った。国俊には答えたい、でも槍とお揃いなんて。
ならば槍とお揃いじゃなきゃいい。
箸を伸ばして、真向かいに座る槍の弁当の中からたこさんウィンナーをつまみ出して自分の口に放り込む。
「あ、蛍！」
「行儀悪いで。」
行儀が悪いのは重々承知している。しているが、ついプイっとそっぽを向いてしまった。
「ごめんな国光、俺のあげるから。」
『いえいえ、ご自分でどうぞお食べくださいな。・・・私めなどとお揃いで、蛍丸様も気分が悪かったのでしょう』
「それは、そんなことは・・・！」
そんな会話を聞いてしまうまでは。
「なんでさ。」
『・・・？』
「なんで怒んないのさ。」
怒られたかったわけじゃない。でも理不尽なことをしたのに怒らないなんておかしい。この槍はどうして怒らないのだろう。ただ不思議だった。
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にこ - 夢小説で夢見るなは無理がありますからね、私はこの小説好きですよ。 (2022年6月13日 11時) (
レス) @page24 id: acf88399c4 (このIDを非表示/違反報告)
ふきお - 何ですかこれ、控えめに言って最高です！続きが浮かびましたら是非読ませてください！！ (2020年6月3日 2時) (レス) id: 34bb43a2e9 (このIDを非表示/違反報告)
狐妖(プロフ) - 今のままでも良いと思いますよ、自分も愛され小説は好きです。読者の意見も勿論大切ですが、夢小説なんですから見たい夢を思いのまま書いてよろしいのではないかと…！長文失礼しました、これからの更新楽しみにしてます！ (2018年12月19日 14時) (レス) id: 8110ce8b8f (このIDを非表示/違反報告)
黒ノ酢(プロフ) - ケロ丸さん» 愛されにしようと思ったらつい誉め言葉が多くなってしまいました。申し訳ありません。ぎくしゃくする描写は、後にいくつか作る予定ですのでご容赦ください。 (2018年10月5日 22時) (レス) id: ec0b05428c (このIDを非表示/違反報告)
ケロ丸 - 黒丸が美しい美しいってそればかりだなーって印象あります。讃えるばかりで、ギクシャクした感じが長谷部くらいしかなかったので、ちょっと夢見すぎだと思います。 (2018年10月3日 19時) (レス) id: 2c86a77dc3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒ノ酢 | 作成日時：2018年9月3日 11時
