来派道中 ページ14
背後でゲートが閉まる。
それを確認し、四人とも無言のまま歩き始めた。
ピリピリと硬い雰囲気が、肌を刺す。
これが本当に遠征なのかどうかも疑わしいぐらいに静まり返った部隊は、ただただ目的地に向かって歩み続ける。
しばらくの時間が経った。雰囲気がほぐれてきたわけでもなく、微妙な緊張感が続いている。
そんな中、並んで前を歩く明石と蛍丸。楽しそうに話し、小突きあう二振りはいっそわざとらしいほどに笑っていた。
その背をぼんやり見つめながら歩く。同派の者同士の距離感という物を掴みかねている黒丸にとっては、前を歩く二振りが何だか眩しく見えた。
と、突然くいっと愛染に手を引かれる。驚いて黒丸は愛染の顔を見る。
愛染の黄色い瞳は、じっと黒丸を見つめている。黒丸はなんとなく、引かれたその手をそのままぎゅっと握ってつないだ。
「・・・っへへ。」
『んふふ。』
不思議にこぼれてきた笑いは、なんだかとても暖かかった。
・
・
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さて、ただいま蛍丸は盛大に拗ねていた。それはもう、その可愛らしい顔立ちを惜しげも無くゆがめる程には。
理由は単純で明快だ。愛染国俊が、黒丸国光に取られているのである。
お前を「来」とは認めないという意思を込めて、わざと素っ気なくしてみたり、明石国行とばかり話したりしていた。だけどあの槍は全くアクションを起こす素振りもない。
何もしていないのに、何故国俊は彼に話しかけ、あまつさえ手を繋いでいるのだろうか。
(あー、なんかモヤモヤする。)
む、と口をとがらせる。
明石国行はそれを見て苦笑した。
(まーたつまらん意地張っとる。)
蛍丸はその幼い見かけに比例して、どこか子供らしいところがある。
どうすればいいのか分からないのだろうということは想像に固くない。
いきなり現れた幻の槍。認めることが出来ず、意地を張った。
だから、話しかけるタイミングも仲良くなるタイミングも、全部逃してしまった。なのに国俊だけがあの槍と仲良くなっていく。
国俊を取られて悔しい。
でもその裏には、自分も槍と仲良くなりたいという願望がある。
(難儀やなぁ。ま、自分も人のこと言えんけど。)
黒丸国光と出陣したことのある明石国行は、別に認めていない訳では無い。
話しかけるタイミングがないだけなのだ。
来派の保護者枠の自分が、何も気恥しいとかそういうことなど思ってない。
思ってないったら思ってないのだ。
『へっくしゅ！』
黒丸は、ひとつ大きなクシャミをした。
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にこ - 夢小説で夢見るなは無理がありますからね、私はこの小説好きですよ。 (2022年6月13日 11時) (
レス) @page24 id: acf88399c4 (このIDを非表示/違反報告)
ふきお - 何ですかこれ、控えめに言って最高です！続きが浮かびましたら是非読ませてください！！ (2020年6月3日 2時) (レス) id: 34bb43a2e9 (このIDを非表示/違反報告)
狐妖(プロフ) - 今のままでも良いと思いますよ、自分も愛され小説は好きです。読者の意見も勿論大切ですが、夢小説なんですから見たい夢を思いのまま書いてよろしいのではないかと…！長文失礼しました、これからの更新楽しみにしてます！ (2018年12月19日 14時) (レス) id: 8110ce8b8f (このIDを非表示/違反報告)
黒ノ酢(プロフ) - ケロ丸さん» 愛されにしようと思ったらつい誉め言葉が多くなってしまいました。申し訳ありません。ぎくしゃくする描写は、後にいくつか作る予定ですのでご容赦ください。 (2018年10月5日 22時) (レス) id: ec0b05428c (このIDを非表示/違反報告)
ケロ丸 - 黒丸が美しい美しいってそればかりだなーって印象あります。讃えるばかりで、ギクシャクした感じが長谷部くらいしかなかったので、ちょっと夢見すぎだと思います。 (2018年10月3日 19時) (レス) id: 2c86a77dc3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒ノ酢 | 作成日時：2018年9月3日 11時
