可愛い子 ページ46
「あとはだれをさそうんですか?」
「今本丸にいる短刀は、僕の兄弟たちと・・・愛染君ですね!」
愛染。
二次国俊に打たれた短刀であり、自分と同じ刀派の者。
緊張で体が固まったのを察したのか、秋田は振り返った。
「あっ・・・その、愛染君は苦手ですか?」
『いえ、そういうわけではないのですが、なんだか緊張・・・ドキドキしちゃって。』
来派の刀に会えるという嬉しさと、今更会ってどうするかという緊張と。色々なものが胸中を渦巻いていて、黒丸にもよくわからない。
「・・・あの、黒丸さん。」
小夜は黒丸の目を見つめた。
「僕も、顕現してから兄さまたちに会うまで、結構時間がかかった。特に江雪兄さまはすごく遅れてきたから、そのころには宗三兄さまと僕ですでに兄弟関係は固まってた。」
でも、と小夜は黒丸の手を握る。
小さな手に大きな力があるように感じて、黒丸は驚いた。
「今、僕らは仲が良い。だからきっと、黒丸さんも大丈夫。」
安心させるように、握った手をそのまま引いて歩きだす小夜。小さいながらも伸びた背筋に、黒丸は何か逞しいものを見た。
秋田も小夜と手をつなぎ、今剣は黒丸の空いた方の手を握って歩く。
なんて可愛らしくて、かっこいい子なのだろう。
黒丸に、もう迷いはなかった。
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「愛染くーん!!あそびましょー!!」
来派の部屋(黒丸はまだ入れていなけれど)に着くなり、秋田は恒例の挨拶をかました。小夜も今剣も「あそびましょー」と言っているのを聞いて、黒丸も真似して「遊びましょー」と小声で言った。
部屋の奥の方から、「行っていいか?」「ええやん、行ってき?」と会話が聞こえた。
数秒後、彼は勢いよく襖を開ける。
「おう!何して遊ぶん・・・だ?」
威勢がいいのは最初だけで、黒丸を見た瞬間に言葉が止まってしまった。
ぽつりと呟く。
「・・・国光が何でここに?」
「僕が誘ったんです!一緒に遊びたかったので!」
『国俊様、もし嫌でしたら私めは部屋に戻りますので・・・。』
気まずげな視線を感じ取り、黒丸は提案する。
すると愛染は首を横に振った。
「嫌じゃない!!嫌じゃねぇって!!ただ、ちょっとびっくりしただけだ!!」
『それなら、良かったです。』
次は粟田口の部屋だ!と意気込む秋田たちの後ろを、愛染と黒丸はゆっくりついて行った。
気まずい沈黙が流れ、愛染はポリポリと頬を掻く。
「なんか、ごめんな。」
『?』
愛染は、その場で立ち止まった。
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黒ノ酢(プロフ) - Qたんさん» 勘違いが好きなんです(o´罒`o) (2018年12月19日 9時) (レス) id: 3f437a82fa (このIDを非表示/違反報告)
Qたん - すごい勘違いですね・・・・・・・・・・・・ (2018年11月17日 0時) (レス) id: 1e4cd3bd39 (このIDを非表示/違反報告)
とむら(プロフ) - 黒ノ酢さん» はい、大丈夫ですよ。寧ろ意見を聞いて下さり嬉しいです。楽しみに更新を待ってますね (2018年8月22日 3時) (レス) id: fe1253ce58 (このIDを非表示/違反報告)
黒ノ酢(プロフ) - とむらさん» 愛されの方向で固めたいと思います!他の方の意見次第では、少し特定の男士によるかもしれませんがよろしいですか?それから、勘違いはまだまだ続く予定です。ご意見ありがとうございます! (2018年8月21日 4時) (レス) id: ec0b05428c (このIDを非表示/違反報告)
黒ノ酢(プロフ) - 152339さん» ごめんなさい!考えている大まかな展開ではまだまだ勘違いが加速していくのです。御気に障ったのであれば申し訳ありません。愛されがいいという方もいるので一概には言えませんが、気持ち鶴丸寄りになると思います。ご意見ありがとうございます! (2018年8月21日 4時) (レス) id: ec0b05428c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒ノ酢 | 作成日時:2018年6月21日 17時