あんよが上手 ページ36
比較的短い時間で入浴を終え、鶴丸は再度黒丸を座らせる。。
何やら思案気な顔で、鶴丸は考えを巡らせていた。
「ふむ・・・このままじゃ少しばかり不便だな。」
『不便、ですか?』
初めての風呂の気持ちよさに、ぼーっとしている黒丸。鶴丸は頷いた。
「お前も、人の手を借りずに色々な場所へ行けた方がいいだろう。」
『そうですねぇ。皆様に運んでもらってばかりなのも心苦しいですし。』
「だろう?だからな、明日から歩く練習をしてみたらいいと思うんだが、どうか?」
鶴丸の提案に、黒丸は顔を輝かせた。ぶんぶんと首を縦に振る。
『はい!是非とも!』
「おう。俺はいわゆる「カンスト勢」だからな。暇ならたっぷりある。」
この鶴丸、なんと練度は99だ。
出陣ではなく主に遠征や内番ばかりで、最近退屈していたのだ。それの暇な時間を、この槍のために使うのならば誰も文句は言わないだろう。
『ご教授いただけるのですか?』
「もちろんだ!」
そして歩けるようになって、皆を驚かせよう。
二振りで顔を寄せ合って、クスクスと笑った。
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次の日から、黒丸は歩く練習を始めた。
大包平や秋田、燭台切にA。彼らにバレないように練習をするのは、至難の業だった。
転べば大きな音が出るし、つい叫んでしまうこともあるだろう。
下手をすれば、一発でばれる。
だが鶴丸は皆の予定を把握しているらしく、「この時間のこの場所なら絶対に見つからない」というのをしっかり見つけて来る。時には道場・馬小屋の裏・鶴丸の部屋など、場所は多岐にわたった。
聞けば、彼はかなりの古株だそうで、誰がどんな動きをするのか手に取るようにわかるそうだ。
初めは支えがあっても歩くことができなかった。何度も転んで、時には鶴丸さえも巻き込んでしまい、双方膝にあざがいくつもできた。
しかし鶴丸の指導が熱心なおかげで、二週間程で自立歩行は可能になった。多少疲れやすいのが難であるが、日常生活に支障はない。
鶴丸は良い笑顔で言った。
「うん。これで自由に移動ができるな!二週間お疲れさん!」
『こちらこそ、時間を取っていただきありがとうございます。・・・でも、少し寂しいですね。』
黒丸は、自分の足をするりとなでた。
『皆さんに抱っこしてもらうの、私めは結構好きでした。』
いじらしいその様子に、鶴丸は天を仰いで「ジーザス・・・」とつぶやいた。
「いつでも抱っこぐらいするぜ?」
鶴丸の一言に、黒丸は盛大に誉桜を散らせた。
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黒ノ酢(プロフ) - Qたんさん» 勘違いが好きなんです(o´罒`o) (2018年12月19日 9時) (レス) id: 3f437a82fa (このIDを非表示/違反報告)
Qたん - すごい勘違いですね・・・・・・・・・・・・ (2018年11月17日 0時) (レス) id: 1e4cd3bd39 (このIDを非表示/違反報告)
とむら(プロフ) - 黒ノ酢さん» はい、大丈夫ですよ。寧ろ意見を聞いて下さり嬉しいです。楽しみに更新を待ってますね (2018年8月22日 3時) (レス) id: fe1253ce58 (このIDを非表示/違反報告)
黒ノ酢(プロフ) - とむらさん» 愛されの方向で固めたいと思います!他の方の意見次第では、少し特定の男士によるかもしれませんがよろしいですか?それから、勘違いはまだまだ続く予定です。ご意見ありがとうございます! (2018年8月21日 4時) (レス) id: ec0b05428c (このIDを非表示/違反報告)
黒ノ酢(プロフ) - 152339さん» ごめんなさい!考えている大まかな展開ではまだまだ勘違いが加速していくのです。御気に障ったのであれば申し訳ありません。愛されがいいという方もいるので一概には言えませんが、気持ち鶴丸寄りになると思います。ご意見ありがとうございます! (2018年8月21日 4時) (レス) id: ec0b05428c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒ノ酢 | 作成日時:2018年6月21日 17時