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増える保護者 ページ32

そして、食事は続けられる。
黒丸の衝撃の一言による凍り付いた大広間も、再び動き始めた。大包平がAの方をちらりと見ると、口パクで「後で詳しく」と言っていたため、面倒くさいことになる予感がした。

「そうそう、口の中に入れた食べ物を、ちゃんと三十回噛むんだ。」
『んぐ。』
「食べてる途中だから返事はしなくてもいい。・・・おい、まだ二十二回だ。」

箸の持ち方、食べ方や飲み込み方を教えながらの食事。当然燭台切や大包平の食事も遅くなる。
食事を終えた者が先に片付けをしに行く。
大広間から人がほとんどいなくなっても、食事の講座は続いていた。

「ごちそうさまでした。」
『・・・ごちそうさまでした。』

食べ終わるころには料理はすっかり冷めきっていて、でも何度も「食べたい」と思うような味だった。
燭台切にそう伝えると、彼は嬉しそうに笑った。

「それが「おいしい」ってことだよ、黒丸君!」
『これがおいしい・・・。』
「他にもいっぱい「おいしい」を教えてあげるからね!!楽しみにしてて?」
『はい!』

一連のやり取りが終わり、大包平は燭台切に言った。

「こいつを部屋まで連れて行く。主が俺たちに話があるようだから、先に行っててくれないか?」
「わかった。じゃあね、黒丸君。」
『はい、また明日!』

大包平に抱えられ、黒丸は大広間を出て行った。













審神者の執務室の前にいると、思いのほか早く大包平は来た。

「あいつを置いてくるだけだったからな。風呂とかの世話は他の奴に頼んだ。」
「ああ、なるほど。」

別に彼に付きっきりと言うわけではなく、他の刀剣たちとも交流させているようだ。来たばかりの彼との顔合わせの機会は、多いに越したことはないだろう。

会話を終えたタイミングを見計らったかのように、部屋の中からAが「入ってください」と声をかけた。
扉を開けて入ると、Aはいつも通り巫女服をきっちりと来て座っていた。

「お呼びした理由は、言うまでもありませんね。黒丸国光様のことでお話があります。」
「わかってる。食事をしたことがない、ではなくて「食べ方が分からない」のはどういうことかってことだろう?」

Aは頷く。
説明は燭台切の役目だ。ざっくりと、前の本丸で魂を弄られたのではないかと言う自分の推測を話す。大包平もAも、眉間に深くしわが寄る。

「あの子を守りましょう。あの可哀想な子を、なんとしてでも守りましょう。」

反対する者はいなかった。

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黒ノ酢(プロフ) - Qたんさん» 勘違いが好きなんです(o´罒`o) (2018年12月19日 9時) (レス) id: 3f437a82fa (このIDを非表示/違反報告)
Qたん - すごい勘違いですね・・・・・・・・・・・・ (2018年11月17日 0時) (レス) id: 1e4cd3bd39 (このIDを非表示/違反報告)
とむら(プロフ) - 黒ノ酢さん» はい、大丈夫ですよ。寧ろ意見を聞いて下さり嬉しいです。楽しみに更新を待ってますね (2018年8月22日 3時) (レス) id: fe1253ce58 (このIDを非表示/違反報告)
黒ノ酢(プロフ) - とむらさん» 愛されの方向で固めたいと思います!他の方の意見次第では、少し特定の男士によるかもしれませんがよろしいですか?それから、勘違いはまだまだ続く予定です。ご意見ありがとうございます! (2018年8月21日 4時) (レス) id: ec0b05428c (このIDを非表示/違反報告)
黒ノ酢(プロフ) - 152339さん» ごめんなさい!考えている大まかな展開ではまだまだ勘違いが加速していくのです。御気に障ったのであれば申し訳ありません。愛されがいいという方もいるので一概には言えませんが、気持ち鶴丸寄りになると思います。ご意見ありがとうございます! (2018年8月21日 4時) (レス) id: ec0b05428c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒ノ酢 | 作成日時:2018年6月21日 17時

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