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三名槍 ページ27

紹介も終わり、皆それぞれの業務に戻っていく。
黒丸のことが気になるようで、チラチラと見ていくものもいた。だが業務に支障をきたしてはいけないと思いなおしてか、そそくさと移動する。

黒丸は、行きと同じように秋田と大包平に部屋へ送ってもらうのだと思っていた。
だが彼らも広間から出ていこうとする姿を見つけて、うろたえた。それに気づいたAは説明する。

「すいません、彼らは今から演練に行かなければいけないのです。時間がきっちり決まっているので、部屋に送るのは別の方にお願いすることになります。」
『あっ、そうでしたか。ごめんなさい、皆さまにも予定があるのに・・・。』

しょんぼりと眉を下げる黒丸。
Aはいえいえと首を振る。

そのときだ。

「なら俺が送るか?」
「日本号様。ならお願いしていいですか?」

日本号が声をかけてきた。彼は今日、特に予定もなかったはずだ。
それならば任せても問題ないと判断したAは、日本号に黒丸を託して、第三部隊の演練付き添いの準備をするために大広間から出て行った。

「・・・そら、抱えてやるからさっき大包平にやったみたいに首に手まわしな。」
『本当に申し訳ありません。』

よっ、と日本号は黒丸を軽々と持ち上げた。

「あー、確かにこりゃ細っこいわ。軽い。」
『大包平様もですが、私めに女性への口説き文句を言っても仕方がないと思うのです。』
「いや、事実を言ったまでだ。だが気を悪くしたのならすまんな。」

などと会話しているうちに部屋につく。
日本号は黒丸を布団の上に寝かせ、自分はその横にどっかりと座り込んだ。

『・・・?』
「何を隠そう、俺も槍の一本なものでな。お前とちょっと話がしてみたいんだが、いいか?」
『もちろんです!・・・でも、いいのですか?予定などは・・・。』
「どうせこれと言った用事もありゃしねぇさ。さ、話そうぜ。」

にぃっ、なんて効果音が付きそうないい笑顔をする日本号。
自分の説明から始まり、この本丸にいる槍、つまり三名槍の説明や戦いの話をする。初めて聞く話ばかりで、黒丸は心底楽しく彼の話を聞いた。

十数分経って、戸の外から誰かの声が聞こえた。

「おーい、喉乾いてねぇか?水持ってきたぞ。」
「入ってもいいか?」

戸に映る影はとても大きい。

『ど・・・どうぞ。』

誰だろうと思いつつ声をかける黒丸。
部屋に入ってきたのは、御手杵と蜻蛉切だった。

「図らずしも槍が全員そろったな。」

呟くのは日本号だった。

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黒ノ酢(プロフ) - Qたんさん» 勘違いが好きなんです(o´罒`o) (2018年12月19日 9時) (レス) id: 3f437a82fa (このIDを非表示/違反報告)
Qたん - すごい勘違いですね・・・・・・・・・・・・ (2018年11月17日 0時) (レス) id: 1e4cd3bd39 (このIDを非表示/違反報告)
とむら(プロフ) - 黒ノ酢さん» はい、大丈夫ですよ。寧ろ意見を聞いて下さり嬉しいです。楽しみに更新を待ってますね (2018年8月22日 3時) (レス) id: fe1253ce58 (このIDを非表示/違反報告)
黒ノ酢(プロフ) - とむらさん» 愛されの方向で固めたいと思います!他の方の意見次第では、少し特定の男士によるかもしれませんがよろしいですか?それから、勘違いはまだまだ続く予定です。ご意見ありがとうございます! (2018年8月21日 4時) (レス) id: ec0b05428c (このIDを非表示/違反報告)
黒ノ酢(プロフ) - 152339さん» ごめんなさい!考えている大まかな展開ではまだまだ勘違いが加速していくのです。御気に障ったのであれば申し訳ありません。愛されがいいという方もいるので一概には言えませんが、気持ち鶴丸寄りになると思います。ご意見ありがとうございます! (2018年8月21日 4時) (レス) id: ec0b05428c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒ノ酢 | 作成日時:2018年6月21日 17時

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