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国光の最高傑作 ページ2

初めは、とてもふわふわとして温かい感覚だった。
カンカンと響く音、揺らめく赤い炎、轟々と鳴る空気。周りに漂う塩っぽい匂いは、いったい何だろうか。

「お主は、私の初めての「槍」だ。頼むからうまく打ちあがってくれよ…?」

低くて野太いその声は、不思議なほどしっくりとその身になじんだ。その声の主を見たかったけれど、なんだか眠くて、何も見ることはできなかった。


それでも、朧気ながら声は聞こえてきた。
幼名を「黒丸」とする武将のもとへ売られること。彫り込まれる花は四季折々のものであること。実践用ではなく美術品であること。

それが自分のことであるとわかったのは、皮肉にも国光の手を離れてからだった。付喪神として力の弱かったその時は、思考も幼くなっていたに違いない。















次に目が覚めたのは、薄暗い部屋の中だった。
初めて目に色が映り込んできたときは驚いたものだ。世界があまりにも狭いと感じたから。

薄暗い四角形の部屋のなか、自分の目の前には人間がいた。
麗しいわけではないが、とても精悍な顔つきをした御仁だった。柔らかく笑うその男は、声を発した。


「いつみても見事なものだな。さすが、国光の槍といったところか。」


低い声。最初に聞いた野太い声とはまた別物の、凛とした声だった。鉄の塊ながらうっとりとするほどには美しい声だった。
思わず、「手」を伸ばした。だが突然見えたその肌色にぎょっとして手を引っ込める。


『これは・・・人間の体?』


そう呟いて、また口を押える。考えたことが文字となって表れた。
一体どういうことだ。今の言葉は、いったい誰が?


『今のは・・・あっ!!』


自分の口から音が漏れる。
そうか、これが喋るということか。先ほど伸ばした手は「動く」ということか。

わかってしまえばなんてことはなかった。鉄の塊であった自分に、どういうわけだか人間と同じような感覚が与えられているのだ。


『一体どうして?』


突然得た感覚に戸惑う。今までは何となく聞こえる程度であった音。今はそれ以外にたくさんの刺激を与えらえて、混乱していた。


「そうさなぁ・・・これだけの逸品だ。名がないのも考え物だな。」


目の前の御仁は、ゆるりと笑った。
まるで自分のことが見えているかのように。もう一度、ゆっくりと手を伸ばしてみる。だがその手が届く前に御仁は言った。


「わしの幼き日の名をやろう。お主は「黒丸国光」だ。」

黒丸国光→←設定



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黒ノ酢(プロフ) - Qたんさん» 勘違いが好きなんです(o´罒`o) (2018年12月19日 9時) (レス) id: 3f437a82fa (このIDを非表示/違反報告)
Qたん - すごい勘違いですね・・・・・・・・・・・・ (2018年11月17日 0時) (レス) id: 1e4cd3bd39 (このIDを非表示/違反報告)
とむら(プロフ) - 黒ノ酢さん» はい、大丈夫ですよ。寧ろ意見を聞いて下さり嬉しいです。楽しみに更新を待ってますね (2018年8月22日 3時) (レス) id: fe1253ce58 (このIDを非表示/違反報告)
黒ノ酢(プロフ) - とむらさん» 愛されの方向で固めたいと思います!他の方の意見次第では、少し特定の男士によるかもしれませんがよろしいですか?それから、勘違いはまだまだ続く予定です。ご意見ありがとうございます! (2018年8月21日 4時) (レス) id: ec0b05428c (このIDを非表示/違反報告)
黒ノ酢(プロフ) - 152339さん» ごめんなさい!考えている大まかな展開ではまだまだ勘違いが加速していくのです。御気に障ったのであれば申し訳ありません。愛されがいいという方もいるので一概には言えませんが、気持ち鶴丸寄りになると思います。ご意見ありがとうございます! (2018年8月21日 4時) (レス) id: ec0b05428c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒ノ酢 | 作成日時:2018年6月21日 17時

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