空間を超えて (ページ3)

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カキツバタの花束ページ3

ある日、コウキとヒカリが私の元に訪ねてきた

久しぶりに大好きな二人に会えて嬉しかったが、何故か二人の顔は真っ青だった

私の顔を見たヒカリは目に涙を浮かべ、その場で泣き崩れてしまった

隣にいたコウキの方を見ると、私から目を逸らして地面の一点を見つめて口を開いた

　｢兄が亡くなった｣

一瞬、頭が鈍器で殴られたのかと錯覚してしまった

状況が理解できないまま時間は過ぎ、私は兄が笑顔で写っている写真(遺影)を目の前にしていた

最初に行方不明となった場所付近で、大量の血がついた兄のトレーナーカードが発見されたらしい

DNA鑑定によって、その血は兄のものだという結果が出た

血の多さから既に兄は亡くなっていると警察は判断したようだ

兄の身に何が起こったのかは、警察が調査中らしい

なんで、いないの？

小さい頃から夢だった強いトレーナー…リーグチャンピオンになれたんだよ？

バトルするって約束したじゃん……嘘つき

ようやく、現状を理解すると目から涙が溢れた

ーーーーー

兄の死を伝えられてから三年の月日が流れた

私は十五歳になった今もチャンピオンの座を守り続けている

　“行くのか”

ルカリオの中では珍しいトパーズの瞳をした相棒が、心配そうに話しかけてきた

　｢うん。綺麗な花だから、三人にお供えしたいの｣

両手にしていた美しい花束は、ヒカリがコンテストに行く前に持ってきてくれたものだ

父さんと母さん…そして兄が安らかに眠れるように

ヒカリの手書きのメッセージカードが添えられていた

　“そうか…”

ルカをボールにしまい、玄関のドアに手をかけた

ーーーーー

三人のお墓は、海が見える高台にしてもらった

綺麗な海が眺められるし、三人も穏やかな気持ちでいられるだろうと思ったからだ

花束を置き、手を合わせてゆっくりと口を開く

　｢父さん、母さん…お兄ちゃん。私、ルカ達と元気にやってるよ。だから、心配しないでね｣

帰ろうとすると、ケータイに着信が入った

　｢もしもし｣

　[すみません、チャンピオン。警察の者ですが]

　｢……何ですか｣

警察から連絡が来たのは、お兄ちゃんの死亡を伝えられた時以来だ

　[お兄さんに関する重大な情報を発見したので、連絡しました。今から署まで来ていただけますか？]

　｢ーーーすぐ行きます｣

重大な情報…

電話を切り、急いで警察署に向かった