空間を超えて (ページ1)

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兄との約束ページ1

兄との約束は、私の生きる理由だった

　｢わたし、チャンピオンになるの！！｣

そう言うと、兄は目を細めて私の頭を優しく撫でてくれた

　｢なれるよ。Aがチャンピオンになった時は、俺がバトルを申し込みに行く｣

約束、と言って二人で指切りをした

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両親は私が生まれて間もない時に他界した

五歳離れた兄は、親の温かさを知らない私を一生懸命育ててくれた

本当に兄には感謝している

私が七歳になった時、兄はハカセからポケモン図鑑を埋める旅に出ないかと誘われた

兄は私を一人で家に残すことを心配していた

しかし、今まで私に使ってきた時間を自分のために使って欲しいと伝えると、兄は納得して旅に出ていった

　｢A、寂しくないの？｣

幼なじみのコウキとヒカリは、何かと私のことを気にかけてくれていた

　｢大丈夫だよ！お兄ちゃんも頑張ってるし、私も負けてられない！！｣

決まり文句と言っていい言葉を、二人にたくさん紡いだ

兄が旅に出てから二年後、警察から兄が行方不明になったという知らせが入った

聞いた時はショックで三日程寝込んでしまった

眠っている間、一つの提案が思いついた

十歳になったら、兄を探す旅に出ようと……

コウキとヒカリに旅に出ることを伝えると、一緒に旅に出ると言ってくれた

私達全員が十歳になると、街を出た

旅先ではたくさんのトレーナー、見たことのないポケモン、色々な出会いがあった

訪れた街で兄を探したが、情報も何も見つからなかった

ジム戦を重ねることによって、ポケモンも私自身も強くなっていった

　｢おめでとう。これからはあなたがシンオウリーグチャンピオンよ｣

シンオウでは最年少の十二歳で、リーグチャンピオンの栄冠を掴んだ

チャンピオンになってから、バトルをすることが増えた

時にはチャレンジャー、大会ではジムリーダー、毎日が充実していた

でも、兄が私にバトルを申し込みにくることは一度もなかった