影山妹は…はい。モテますよ…番外編

遊園地 9 ページ36

A｢大丈夫ですか？｣



項垂れている川西の隣に座り、背中をさする



川西｢うん、少し楽になってきた…でも、ごめん｣


A｢何がですか？｣


川西｢影山だってジェットコースター乗りたかっただろ？俺のせいで残ることになって……｣


A｢気にしないでください。乗ろうと思えば、また乗れるので｣



カラッと笑ったAにホッとしながらも、少し罪悪感を憶えこめかみを掻いた



川西｢あのさ…影山は高いところ平気なんだよな｣


A｢まぁ、たしなむ程度には｣


川西｢何だよその返答は…｣



ため息を付きながら、既に半分しか中身が残っていないペットボトルに口を付けた



川西｢……先輩達が戻ってくるまで暇だし、アレ乗らね？｣



川西が指さしたのは、カラフルな観覧車だった



A｢いいですよ。川西さん、観覧車好きなんですか？｣


川西｢好き。眺めいいし｣


A｢分かります。人が小さくなっていくのは見ていて面白いですよね｣


川西｢何を楽しんでんだよ。景色を楽しめ、景色｣



呆れながら、笑っているAの頬を抓った



〜川西Side〜



｢お客様何名ですか？｣


川西｢二人です｣



指を二本立て、スタッフに見せた


五分ほど並んでいるとすぐに自分達の番が回ってきた



｢分かりました。次のお客様が降りたら乗り込んでください｣



丁寧な説明を受け、一周し終わったゴンドラが開くのを待つ



A｢やっぱりカップルが多いですね｣


川西｢俺達もそう見えてんだからな｣


A｢あはは。冗談キツいですよパイセン｣


川西｢え、何。今日の俺はツッコミしかできないわけ？｣



収拾の付かない会話をしていると、スタッフに声を掛けられてゴンドラに乗り込んだ


｢いってらっしゃい｣というスタッフに手を振って窓から外を眺める



A｢上がっていきますよ、川西さん！｣


川西｢当たり前だろ、観覧車なんだから｣



何をしなくてもゆっくりと地面から離れていく


普段は味わえない感覚にドギマギしながら、外を眺める



A｢あ！さっき行ったお化け屋敷が見えますよ！！｣


川西｢本当だな｣



正面では子供のように楽しんでいる後輩…いや、好きな人がいる


この時間がいつまでも続けばいいな、と心の中で呟く



A｢見てください！人がゴ…｣


川西｢それは言わせないからな｣

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