短編集楽しんでってよ【d!】 (ページ41)

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A目線

ゾムさんと私の脱走は、計画を考えるところから始まった。
15時から17時までは自由時間だから、最近はいつも2階でゾムさんと脱走計画を考えている。

zm｢館の2階と3階が唯一繋がってる所、階段やなくて縄梯子やねん。んで、俺らが3階に上がったら縄梯子を回収して…｣
A『そしたら、もう2階には行かないってことですよね？』

zm｢そう。ちなみに、この館が何階まであるか知っとる？｣
A『いや…知らないです。』
zm｢6階。そんで、窓は1階にしかない。窓から逃げられる可能性があるから、自分の目が届くところだけに窓を設置した。多分こういうことやろうな。｣

A『…ロボロさんは、1階から上には行かないんですか？』
zm｢基本は行かん。まぁ、その代わりに鬱とか俺が見張りをしてる。｣

ゾムさんは大きな紙とペンを持ってくる。

zm｢図、書いてやるわ。今理解出来てへんやろ？｣
A『！ありがとうございます！』
zm｢っ、見にくい…仮面外してもええ？｣
A『あ、はい、もちろんです！』

ゾムさんは仮面を外す。
ゾムさんの目を見た瞬間に声に出ていた。

A『綺麗…』
zm｢え？…あ、ありがと。｣

ペリドットを埋め込んだみたいにキラキラする瞳。
ロボロさんの瞳はピンクサファイアのようで、鬱さんの瞳はアイオライトのようにキラキラしてて。

皆、キラキラしてる。

zm｢ほい、出来た。｣
A『あ、ありがとうございます！……！？』

独特な絵が描いてあって目を疑う。
………こ、これは…ロボロ…さん？

zm｢自信作や！｣
zm｢あ、もう時間か……また明日な！｣
A『はい！また明日！』

笑顔のゾムさんに手を振って、1階へと降りていった。

rb｢なぁ。A。｣
A『はい！』
rb｢…ゾムと脱走計画話すの、楽しいんやねぇ…｣
A『…………え？』

ロボロさんはいつも通りの柔和な笑顔を浮かべる。

rb｢ふふ、俺が気付かんとでも思った？ま、Aんことは許したるよ。｣
A『そ、そんな話…してないです』

rb｢うるさい黙れ。……ただし、条件があんねん。安心してえな。簡単やから。Aの手で直接、ゾムを殺すこと。な？簡単やろ？｣

ヒュッと喉から情けない音がなる。
なんで、ゾムさんを殺さなきゃいけないの…？

rb｢あー、ごめんな？怖かったやんな。…とりあえず、アイスでも食べて落ち着こか。｣

ロボロさんから渡された、コーンの上に3段のっているピンク色のアイスを頬張った。