硝子の向こうで笑う君は ci ページ22
ci目線
2人きりの会社内。
出口で急に止まったと思いきや、Aは絞り出すような声で呟く。
A『……チーノなんて、嫌い。』
ci｢…｣
嫌い、その言葉が俺のナイフのように胸に深く突き刺さる。
ただ、そんな俺よりも悲しそうな顔をしているAに混乱しながらも、俺は憎まれ口を叩く。
ci｢俺やって嫌いやし？急になんなん。｣
A『っ、ずっと嫌いだったの！もう、私に関わらないでよ…！』
ci｢……ならもう関わりまへんわ。｣
俺は｢んじゃ｣なんて、軽く言って会社の出口を通る。
残業続きでムカムカしていたのもあったが、急にそんなことを言ってくるAにムカついたのも事実だ。
ci｢あ、エミさんやん。｣
em｢おお、チーノ君やん。｣
ci｢1人っすか？｣
em｢軽く散歩しに来ただけやで。｣
と、エミさんはけらけらと笑いながらタバコを取り出す。
ci｢あ、俺にも。｣
em｢持ってるでしょう。｣
ci｢なんや、知ってたんか。｣
シュボ、とライター特有の音に耳を傾け、煙草に火をつける。
em｢どう？新しい会社は。｣
ci｢どうも何も…残業ばっかで疲れるわ。｣
em｢ほーん…あれ、チーノ君が言ってた同僚の子は？｣
ci｢……喧嘩した。というか、急に嫌いって言われた。今さっきやねん。｣
em｢…そうなんや。なんか悪いこと聞いたなぁ…｣
ci｢いや？別にええよ。A以外にも友達おるしなww｣
そうだ。
別に友人一人と喧嘩して落ち込んでる事もない。
俺は友達が居ないわけでもないし。
em｢不思議に思ったり、嫌だな、とか思ったり、問題にぶつかったとするやろ？｣
ci｢………何が言いたいん？｣
em｢…つまり、物事には何か原因があるんよ。今回だったら例えばー…嫌なことしたとか？｣
ci｢…やった覚えはない。｣
原因…？
最後の一言がずっと気になっていた。
A『っ、ずっと嫌いだったの！もう、
ci｢！…何か、俺に隠してる…？｣
em｢ああ、よく聞きますね。何かを隠すために、相手を自分から離すために嘘をついたりだとか。｣
でも、そんなことを言ってまで俺に隠したいことったなんや…？
……Aの何か、おかしな行動…
ci｢……明日くらいに聞くか。｣
em｢そうした方が良さそうですね。きっとチーノ君の友人さんにも事情がありそうですし。｣
ci｢……ふー。なんな、すっきりしたわ。ありがとな、エミさん。｣
煙草の火を消した。
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作者名：闇の塩分 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/egg/
作成日時：2022年10月7日 13時
