二次元しか愛せない系少女、絶賛狙われ中です【文スト】

二次元しか愛せない系少女、待ち合わせ ページ36

八月十日、午前九時前＿山下公園＿＿

中也side

「来るわけねぇよなぁ…」

現在の時間は午前九時五分前。
俺は公園に設置されているベンチに一人で座っていた。

…流石にあんなに強引な誘い方じゃあ来るわけねぇよな…と今更だが後悔する。

周りのベンチには、夏休みだからか、カップルがイチャついていた。

そんな状況で、一人男で虚しくベンチに座っている俺は唯の場違い。早くこの場から走り去りたい。

そうはしたいものの、誘ったのは俺だ。

若し俺が勝手に帰れば、
俺から誘ったクセに勝手に帰るなんぞけしからん、と彼奴は云うだろう。うん。絶対そうだ。


一人悶々としていると、午前九時を告げるチャイムが何処からか鳴り出した。

九時になったから、と直ぐに帰るのは如何かと思うので、十分まで我慢しようと不機嫌そうなオーラを出して、人を寄せ付けないようにする。

そんな俺にも怖がらずに「隣良いですか？」と俺に問う女が一人。

俺は少し右にズレて「どうぞ」と云う。

嗚呼、まだなのか、もう五分だぞ、と少しイライラし乍携帯を見つめる。

すると、何処からか、ピコン、と一つの通知音が鳴る。

先程閉じた携帯の画面を見ると、お馴染みのアプリのアイコンと「嫁愛してる」からのメッセージが表示されていた。

嫁愛してる*Lv.218私優しいからきてあげましたよ何処にいるんですかこんにゃろう

「…っは」

ぶっきらぼうに送られてきたメッセェジを見ると、何故か、思わず、笑いが出る。

…ってことは彼奴、来てくれたのか…

俺はまたこの前の様に待たせて、怒らせてしまってはいけないと思い、直ぐ様返信を行った。

素敵帽子*Lv.203手前は何処にいるんだよ

送った直後に、『既読』という表示がつく。

すると隣に座っていた女が、携帯の画面を見乍話し掛けてきた。

「っはぁ？…何処にいるって聞いたのにそのままそっくり質問を返す奴ってどう思いますか？」

突然過ぎて内心驚愕したが、俺は普通に質問に対しての答えを返した。

「…多分其奴は莫迦だな」

そう返すと、頷き乍女は云う。

「そうですよねぇ！？若しかしても君も誰かと待ち合わせとか？」

可成り積極的な女だな…と思い乍も、質問に答える。

「嗚呼。俺からデェトに誘ってな」

「ふぅん…じゃあ彼女？」

「厭、遊戯(ゲェム)友達だ」

そう答えると、「私も同じです…殆ど強制的に誘われて…」と溜息をつき乍答えた。

…此奴も色々と大変だな。

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