ショタコン系少女、目覚めちゃいました。【文スト】 (ページ6)

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どす黒く渦巻くモノ。ページ6

太宰side

「かっ…可愛いっ！」

私が今迄一度も見たことが無いような、最高の笑顔で頬を赤く染め乍叫ぶ彼女。

…何故か苛々する。

Aを最高の笑顔にさせたのが"私"ではなくて"織田作"だなんて。

それにあの頬を赤く染めた顔。
言葉では云い表せない程可愛いが、その顔を向けているのが"織田作"なのも気に食わない。

何故、私では無いのか。何故、何故。

自分でも良く分からない感情が
心の中でどす黒く、渦巻いている。

「…く…だ……太宰君！！」

安吾からの呼び掛けで私は我を取り戻した。

「ん？如何したんだい？」

何事も無かったかのように、平然に取り繕う。

「大丈夫ですか？先刻から呼んでいましたけど返事が返って来なかったので…」

「嗚呼、大丈夫だよ。考え事をしていただけさ」

何時もの様に愛想笑いをし、Aに目を向ける。

Aは幼児化した織田作を、ぎゅっと大切そうに抱き締めて、幸せそうな顔をしている。

また、私の中で何か黒いモノが渦めいたような気がした。

私はその黒いモノに気付かぬ振りをして
酒のボトルを持ち上げる。

「之は…酒の成分を調べないと。

成分さえ分かれば、元に戻る方法も見つかるだろうし」

それに、早く戻って貰わないと私の身が持たないしね、と心の中で呟いた。

「ねぇねぇ太宰さん、」

愛しのAの声が聞こえる。
私は直ぐに振り向いて、

「如何したんだい？A」

と髪を撫で乍問いかけた。

「織田作、此から如何するの？」

Aの腕の中でスヤスヤと眠っている織田作を見乍云う。

「そうだねぇ…元に戻るまで安吾に預けてもらっておこうか」

その言葉に安吾は

「えっ！？…太宰君！？勝手に決めないでくださいよ！

僕は第一、仕事で余り家にいないので無理ですよ！」

と少し慌て乍答えた。

「う～ん…困ったものだねぇ…」

如何しようか…と唸っていると
Aが不意に

「じゃあ、私が面倒みるよ！！」

と云った。
私は衝撃の余り絶句してしまう。
一方安吾は

「確かに…Aは基本的に太宰君から外出を禁じられていますから…良いのでは？太宰君」

私は目の前のAに向けて

「駄目だ。君に万が一の事があっては怖いからね」

と冷酷に云い放つ。

すると彼女は諦めたかのように下を向く。
内心ホットしていると

「太宰さん…駄目…なの？」

潤んだ瞳で+上目遣いで懇願してきた。

、

…Aに滅法弱い私は、織田作の世話をすんなりと承諾してしまうのであった。