検索窓
今日:3 hit、昨日:7 hit、合計:33,118 hit

■たった一人の家族 ページ10

『あるんだ。誰襲ったの?民間人?鬼殺隊?
それとも_______炭治郎?』



分かりやすいようにぴくりと反応した。

嗚呼、やっぱり。炭治郎だ。



『人を襲えば、それはもう鬼。
喰わずとも襲って殺せば同罪。どいてよ、炭治郎』

「っ嫌だ!禰豆子は殺させない!!」



キッと睨む炭治郎。

そして、その傍に駆け寄る善逸と伊之助。



…………この二人は知ってたわけね。




『三人とも隊律違反としてお館様に報告する。その鬼の頚を刎ねた後』

「やめてくれ!Aっ!」

『やめない。君達が可笑しいんだよ。鬼を庇うなんて気が知れない』

「俺の子分に手ェ出すんじゃねぇ!喧嘩は俺がする!!」

「お前黙ってろ!!話がごちゃごちゃになる!」



うるさい二人を置いて、僕は炭治郎の後ろに回り込んだ。


所詮は癸。甲である僕にも敵わない。

炭治郎の首に手刀で気絶させようとした。



「むゔ──!」

『っ!!』



鬼に蹴られ、重心が後ろに傾く。

蹴られた場所が確か、ヒビが入った肋だった気がするけど、まぁ良い。

何とか体制を整える。


“禰豆子”と呼ばれた鬼は僕を睨んで、三人の前に立った。




『……何?やるの?』

「ゔぅ…」



鞘から日輪刀を抜き、鬼に向ける。

鬼も小さかった体を徐々に大きくしていく。



「禰豆子駄目だ!!」

「むゔ…」

「Aは良い人だ!お願いだから、小さくなってくれ!」




炭治郎の言葉を理解したのか、鬼は体をシュウ、と小さくさせる。

僕はもう一度、刀を鬼に振りかざす。




「やめ──」

『桃李』



鎹鴉の名を呼べば「カァァァ!!」と鳴きながら炭治郎に襲いかかり、彼の前を塞いだ。

善逸や伊之助が僕を止めようとするも、もう遅い。




『さよなら』




無抵抗な鬼の頚目掛けて刀を横に振るった。




「やめてくれぇぇぇぇぇ!!!」




瞬間、炭治郎の声が響き渡った。

僕はその大きな声に驚いて、頚スレスレのところで刃を止める。

そちらに視線を寄越せば、炭治郎が涙を流していた。



「頼む、頼むから…禰豆子だけは、俺の…たった一人の家族、なんだ……家族を…これ以上、奪わないでくれ……誰も、失いたくない…」

『っ、』



一瞬、ほんの一瞬だけ炭治郎としのぶが重なった。

■証明→←■人を喰わぬ鬼



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (85 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
231人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

黒豆粉 - 続編おめでとうございます!とっても面白いです!更新楽しみに待ってます!応援しています。頑張ってください! (2020年3月13日 23時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん - 夢主君ってどんな音とか匂いがするんだろ…気になる… (2020年2月22日 15時) (レス) id: dac3466e7c (このIDを非表示/違反報告)
レンゲ - わーい!続編だー!! (2020年1月1日 9時) (レス) id: 705f08a40d (このIDを非表示/違反報告)
華音(プロフ) - モカさん» ありがとうございます!! (2019年12月30日 13時) (レス) id: a6ec0cb896 (このIDを非表示/違反報告)
モカ - 続編おめでとうございます!! (2019年12月29日 18時) (レス) id: b98e8ac430 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:クロネコ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年12月29日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。