3 ページ5
「…もういいですよ」
そう言われて恐る恐る目を開ける。最初に目に入ったのは目の前を横切る薄桃色の花びら。
「なん、やこれ…」
隣で呆然と呟いたトントンの視線の向く先に目を向けると、そこには＿＿＿＿＿
「日本庭園じゃないかこんなの…」
赤と黒の漆塗りでできた池に架かる橋に、すぐそばに一瞬で生えた大きな大きな枝垂桜。その下にはレトロなテーブルとイスが三席。
「では、準備も整いましたし…こちらへどうぞ」
そう言って一つの椅子を引いたAは黒と白でできたシンプルな着物を着ていて、いつの間にか翼は仕舞われていた。
「本当は抹茶をお出しするつもりだったのですが、ひとらんらん様の抹茶のほうが美味しいのではないかと思いまして、それはまたの機会に」
「…ひとらんのことも知っとんのか」
「そのご説明をするのです、お座りにならないのですか？
総統様は…我先にと座ってらっしゃいますが」
「このコーヒーうまいぞトン氏！！」
「おい」
だがしかし糖分も欲しいところだな、ケーキを求めて脱走したわけだし。
なんて思っていた時に目の前に置かれたケーキに瞳が輝いたのがわかる。やっぱりAはアレなのだろう今度こそ確信を持って言える。
「…ほんまに何者なんや」
「それが知りたいのでしたらお座りください。
…大丈夫です、この通り僕はあなた達に危害を加える気は一切ありません。説明を聞いてくだされば理由はわかってもらえるでしょう」
「ほんまやな？嘘やとわかったらその心臓はぶち抜かせてもらうで」
「ええ、マシーネの翼に誓って」
ふん、とイラつきながらも俺の隣に座ったトン氏に口を開く。
「大丈夫だトン氏、Aはこちらが攻撃を仕掛けない限り絶対に敵対することはない。安心していいぞ。というか多分これからの時間はきっとお前にとっても有意義なものになる」
「はぁ…」
「それでは始めさせていただきますね、先ほども言いましたが、僕はA・シュバルツ、およそ2000年前に崩壊した都市国家、マシーネ国の実験体成功例077号、古代兵器です」
「さっきから思てたけど、マシーネってあの神話に出てくる国のことなんか？」
少し微笑んで＿と言っても目元は黒い目隠しで見えないのだが＿Aが頷く。
「この時代では神話として伝わっているようですが、実際にあった国です＿＿」
＿＿
文字数制限の地獄
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くぬぎ | 作成日時：2019年6月21日 15時
