古代兵器の瞳【d!】 (ページ4)

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「あぁそういえば今の時代にはない機能でしたね、ご説明いたします。それでは少し待っていてください
…お二人は、四季の中で一番お好きな季節は何ですか？参考までにお聞きしたいのですが」

「はぁ？？？」

「…私たちは桜を見たことがない、見ることはできるか？東国の花なのだが」

「っちょ、グルさんあんたって人は…！！」

「可能です、少々お待ちください」

「お前！なにを、」

「トン氏大丈夫だ、彼女が本物であるならば」

行動を起こそうとする彼女を止めようとするトン氏の腕をつかみ、押しとどめる。トン氏があの神話を知らないということはないだろうが、きっとあの神話と彼女がつながっていないのだろう。まぁそれもこの一瞬だけで、きっと彼女がすべてを話してくれる。

こちらの会話など知ったことかと彼女は開けた空間の真中へとたどり着く。そして、とんとん、となんの変わった様子もなくつま先で地面をたたいた。隣で呆けているトン氏はなんの見当もつかないのか彼女を警戒し続けている。

何気ない行動にここまで心震えるのは、きっと彼女がアレであることに確信を抱いているからだろう。

「桜ということは春、春と言えば木漏れ日…ここは少し寒いですね、暖かくしなければすぐに枯れてしまう…東国といえば赤い橋に抹茶に着物、雅をつかさどる美しく豊かな国」

すぅ、と深呼吸したAはひとつ拍手をうつ。森にひろく澄み渡ったその音に、まるで喜ぶように草木は揺れ踊った。同調するように俺の心も興奮で波打っていく。トン氏は何が何だかわからずあたふたとしている。この男のこのようなシーンはなかなか貴重だ。

『目を閉じて』

頭に直接届いたその言葉に、とっさに目をつむる。まぶた越しに淡い光が広がって、そして散っていった。