172話 ページ26
｢うわああーー！！！｣
グリムとデュースくんにも首輪がつく。
まぁ、うん。これは予想範囲内。
あんなにリドルくんに逆らって好き勝手に言って許された方が不思議だ。
｢ぐええ！またこの首輪なんだゾ！｣
｢くそっ、外れない！｣
首輪がついたことで苦しむ2人。
外れないのは当然として、またってなんだ。グリムは他寮生扱いのはずなのに首輪をつけられたことがあるのか。この短期間で？
｢トレイ！ケイト！こいつらをつまみ出せ！｣
｢………はい、寮長。｣
リドルくんの怒りの籠った命令に少し黙りこくったが小さな声で返事をする先輩2人。
｢せ、先輩たち！？｣
デュースくんは驚いていたが、先輩達の判断は正しい。ここで事を大きくするより従った方が懸命だ。
｢ごめんねー、オレたち寮長には逆らえないからさ☆｣
｢…悪いな。｣
明るく言うダイヤモンド先輩と、静かに呟くクローバー先輩。
ダイヤモンド先輩はわざと明るく言ってるんだろう。あの人は空気を読むのが得意だから。
｢あ〜〜〜、そうかよ！やってやらあ！｣
どうやらエース君には伝わっていないようだが。
｢……。｣
まただ、また少しクローバー先輩の表情が曇った。先輩は何を知っている？
先輩2人が1年生達を追い立てるのを静かに見守る。
僕まで追い出されちゃ困るし、今は関係ないからね。一緒に来ただけで、僕は何もしていないもん。
だが、パーティの雰囲気は最悪だ。
楽しくお茶会が出来るような状態じゃない。
どう話しかけようか…。
｢くっそーー！！！
ぜってぇ謝らねぇからなーー！！｣
遠くからエースくんの絶叫が聞こえる。
謝らないと寮に入れて貰えないのにそんなこと言っていいのだろうか。
まぁ、泣きついてきたらオクタヴィネルに泊めてあげよう。客間は何時でも空いてるし。もちろん、タダじゃ無いけどね。
｢ふぅ…、まったく。
さぁ、気を取り直してパーティの続きだよ。
今日はクロッケー大会もしなくちゃいけないんだから。
あぁ、予定から15分も押してしまっている！
最悪だ！｣
｢はい、寮長…。｣
ご立腹のリドルくんに返事をするクローバー先輩。
｢…お前、ほんとにこれでいいわけ？｣
｢……。俺にはどうすることも出来ないよ。｣
小さな声で2人だけの話をする先輩。
ふぅん。やっぱりクローバー先輩は何かある。リドルくんの秘密だろうか。
でもまぁ、僕にはやることがある。
話しかけづらいが、まずはリドルくんに誘っていただいたご挨拶をしなければ。
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作者名：黒梦 | 作成日時：2020年11月1日 18時
