【ツイステ】UNTITLED Ⅱ (ページ8)

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56話ページ8

熱心に机に向かっている赤い髪の少年。
なんとなく気になって後ろを通るふりをして手元を盗み見る。

数学の問題集を解いているところだった。

なんだ、勉強しているだけか。
この子はカモにはならないなと思った僕は興味を無くし目線を外そうとした。

｢あ、ここ。間違ってるよ。それは引っかけ。｣

たまたま見つけてしまった間違い。
見つけてしまったからにはとりあえず教えてあげる。

｢なっ、誰だ！？
キミはあの時の……。｣

驚いて振り返る彼。

｢こんばんは。ローズハートくん。
もうすぐ閉館時間のはずですよ。こんな時間までテスト前のお勉強なんてさすがです。｣

｢ちゃんとすぐに挨拶ができるなんていい心掛けだね。
どうしてここがすぐに間違いだと気づいたんだい？｣

挨拶は基本でしょ？挨拶するだけで褒めてくれるなんて変な人だ。

｢それは…。｣

適当にそれっぽく説明する。
本当のことを言えばテスト対策ノートを作ってる時に似たような問題を見たことがあるからだが。

｢なので、この場合はこっちではなくこうなります。｣

ついでに問題の解説もしておく。
彼は真剣に僕の話を聞いていた。

｢ありがとう。わかりやすくて助かったよ。
キミは思っていたより頭がいいんだね。｣

そう言って僕の説明をノートに書いていく。
僕が勉強できるのが意外なのか。
そりゃ、サボり魔の生徒が勉強出来たら不思議か。

｢いえ、とんでもない。
それじゃ僕はこれで。｣

｢待って。キミはオクタヴィネルの生徒だろう。なんで何も言わない？｣

なんで対価を要求しないか？そりゃ

｢なんでって、僕が勝手にやったことなんで。頼まれたわけじゃないですし。｣

頼まれたことなら対価を要求するし、もっと親身に教える。今回はただの僕の気まぐれだ。

｢それなら、テストが終わった後、キミさえ良ければまたボクと勉強会をしないかい？
キミの説明は先生よりも分かりやすかった。

対価は、今度お茶会に招待しよう。｣

僕個人との取引ってことね。
ハーツラビュルのお茶会はなかなかに美味しいお茶が出ると聞く。しかも寮長直々のお誘いだ。興味が無いわけがない。

それに、繋がりが多いのはいい事だ。断る理由はない。

｢もちろん。僕でよければ何時でも。
お茶会、楽しみにしております。｣

にこりと笑い、僕は本探しに戻る。
結局本は見つからなかった。

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テストは嫌い。