【ツイステ】UNTITLED Ⅱ (ページ33)

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81話ページ33

アズールの荷物を寮長室に運ぶ。

そういえば前寮長はどこに行くんだろう？
まぁ何部屋か空き部屋があるのでそこに移るのだろう。いいなぁ、一人部屋。

｢寮長室ってやっぱ豪華だね。いいなー、海の見える部屋。｣

窓を眺めながら羨ましいと口に出す。
大きな部屋で海を眺めてられるなんて何時間でも時間を潰せそうだ。

｢そんなに羨ましいならここに泊まればいいでしょう。僕は構いませんよ。｣

｢ベッド1つしかないんですが？添い寝すればいいの？｣

男2人で添い寝とはなかなか。ベッド広いから出来そうだけど。

｢アズールずるい！オレもAと一緒に寝たい！｣

｢おや、2人して僕を仲間はずれにするんですか？寂しいです。しくしく。｣

いくらベッドが広くてもさすがに4人は厳しかなぁ。

｢僕はこれからAと違う部屋で過ごすことになるんです。少しくらい譲りなさい。｣

大体お前達は……とアズールのお説教が始まったため僕は窓際に逃げる。

海。どこまでも青くどこまでも澄んだ海。
綺麗な珊瑚礁を見ると故郷を思い出す。

この仲間たちと出会った海。
当時の僕は相当荒れていたと思う。

引きこもりになったし、自分の人生を憎んで恨んだ。

暗く深い海だと思っていたのに、アズールと出会って一気に世界が明るく輝いて見えた。
ジェイドとフロイドと仲良くなってもっと世界が鮮やかに見えるようになった。

ふと、まだお説教中のアズールを見る。
あれから変わったなと思った。
初めて会った時はあんなに弱くて泣き虫だったのに。今ではまるで僕たちをまとめるリーダーだ。
それに、このオクタヴィネル寮の寮長にまでなった。

スマホのカメラアプリを起動して静かに後ろからアズールに忍び寄る。
気配を消し、油断している瞬間を狙い後ろから抱きついた。

｢うわぁぁああああ！？｣

相当驚いたのか勢いよく振り返る。

｢何するんですか、A！お前はほんと……。｣

馬鹿なことをする、と言って呆れながらも微笑んだアズール。今だ。

カシャリとシャッターを切る。

可笑しそうに笑う僕と優しく微笑むアズールの写真。
素の顔など写真でなかなか撮れるものでは無い。

消しなさいというアズールを何とか説得(という名の泣き落とし)をしてマジカメに上げる。

自分達にしか見せない顔を他の人に見せるのは少し嫌だけど、だからこそ自分達にはこういう顔をするんだぞ、という自慢にもなるしね。

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優しい微笑みとか想像できない。