79話 ページ31
副寮長に準備を手伝わせる僕と寮長に起こされるフロイド。
なんだか変だなぁと笑ってしまう。
自分の準備が済んだので僕もフロイドの準備を手伝うことにした。
まだ眠そうなフロイドに声をかける。
｢おはよーフロイド。まだ眠そうだね。｣
｢んー……、A？まだ眠い。｣
テキパキと着替えさせられてはいるが頭はまだ寝ているらしい。
覚醒する頃には準備終わってそうだな。
僕の予想通りフロイドが覚醒する頃には全ての準備が終わり、そろそろ部屋を出るところだった。
放課後。僕は部室に行く。
手首はもう動かしても痛みがほとんどない。
お腹の方はまだしっかり残っているが、痛みは引いてきている。
あ、今朝アズールが見てたのはこれだったかな。
｢おはようございます、ヴィル先輩。｣
｢あら、今日も早かったわね。｣
軽く挨拶を交わしてヴィル先輩は僕をじっくり観察する。
身だしなみは教室を出る前に整えたし、大丈夫だと思う。
休みの間もケアを怠っていない、はず。
ヴィル先輩から及第点を頂き、レッスンに励む。
｢ラーラララ〜♪｣
｢違う！そこは……｣
指導はかなり厳しいが辞めたいとは思わない。
数時間歌い続けて喉がカラカラだ。
ちなみにダンスは初日に足を絡ませて盛大に転び、無理だと判断された。
｢ま、最初よりは少しはマシになったんじゃないかしら。でもまだまだ全然ダメね。｣
｢あはは、厳しいですね……。｣
歌を意識すると魔法が疎かになり、魔法に気をとられすぎると歌の方がズレる。
言葉に魔法を乗せることには慣れてきて、感情だけではなくそれを表現する映像を見せることができるようになった。
この特技で一儲けできるんじゃ？アズールに相談してみるか。
湧き出る不純な気持ちは後でアズールに相談するとして、今はレッスンだ。
少しの休憩とレッスンを重ねる。
｢ラララーラララ〜♪｣
何度も歌う。
歌うこと自体は好きなので厳しいレッスンも楽しい。
レッスンを終えヴィル先輩にお礼を言う。
｢ありがとうございました。｣
｢今日からまた励みなさい。
そういえば、アンタのとこの寮長が変わったそうじゃない。｣
アズールのことだ。早いな、もう話が回っているのか。
｢えぇ、そうなんです。新しい寮長は僕のお友達なんですよ。｣
｢へぇ。新寮長といえば、そのグループは【なんでも願いを叶えてくれる】んですってね？｣
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
授業すっ飛ばし。
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作者名：黒梦 | 作成日時：2020年10月7日 0時
