51話 ページ3
僕は自分の前のパスタを見る。
今食べているものは野菜入りの『アーリオ・オーリオ』と呼ばれるものだ。
お肉やお魚を食べたい気持ちもあるが、現在映画研究会で役者をやっている。
つまり、あまりカロリーをとりすぎて少しでも太るとヴィル先輩に怒られてしまう。
｢よくそんなに入るよねぇ。てか、お昼前の合同飛行術の時に終わってすぐ間食してたの僕見てたんだけど。｣
よく太らないよねぇと言いながらアズールを見る。
ジェイドは燃費が悪いなどと言っているが、太りにくい体質とは何とも羨ましい。
｢なんです？あなたは僕に喧嘩を売っているんですか？｣
ちらりと見たのがバレたようで怒られた。
｢あはは……。フロイドぉ。僕次の授業出たくないんだけどどうする？｣
｢何？Aサボんの？じゃあオレも〜。｣
フロイドとサボりの約束をして食べ終わった僕達は席を立つ。
アズールとジェイドは授業へ。僕とフロイドは中庭へ。
｢ねー、僕もフロイドみたいに飛んだり跳ねたりしたいんだけど。この前窓から出てったのめっちゃかっこよかった！｣
｢ありがとー。でも今は気分じゃねーや。｣
残念。振られてしまった。
今日見せてもらうのは無理そうだ。
｢んじゃ、また今度見せてね。｣
｢いいよぉ。｣
簡単に引下がる。しつこく頼っても無駄なのは分かっているから。
木陰に座り、寄り添って目を閉じる。
昼下がりの日差しは暖かくて気持ちがいい。
隣のフロイドの体がぐらりと傾き、僕の太ももに頭を乗せる。
規則正しい寝息が聞こえる。どうやらこの陽射しに当てられて寝てしまったようだ。
眠るフロイドの頭を撫でながら、ぼうっと自分の兄弟の事を考える。
ミヘイル。なぜ去り際にあんな事を言ったのか。
昔は一緒に眠ったり、遊んだりしたような気がする。沢山親に構ってもらえるあいつが羨ましかった。
自分のスマホを取り出して、マジカメを開く。
僕自身は投稿したことが無い。
1つのアカウントをタップして眺める。
ミヘイルのアカウントだ。
RSAでの楽しげな日常が綴られていて、楽しげなミヘイルを憎んだ。
ふと手を止める。ミヘイルが書いたものではなく、イイネを押したと思われる投稿。
ヴィル先輩の投稿だった。
部活の練習風景だった。奥に小さく僕が映り込んでいる。
その次にミヘイルが投稿した写真。
頬を寄せ合い笑い合う幼き自分達だった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
久々のミヘイル
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作者名：黒梦 | 作成日時：2020年10月7日 0時
