67話 ページ19
まぁたしかに友達に向かって撃つ魔法ではない。本気で当てるつもりは無かったが。
｢模擬戦だからね。本気でいかないと。
それに結局当たってないじゃん。｣
そう言って立ち上がる。
治癒魔法を使おうとするとマジカルペンを取り上げられる。
｢え、アズール何すんの？ペンを取られたら魔法使えないんだけど。｣
｢こんなにブロットで濁っているんです。今魔法を使わせるわけにはいきません。
医務室に行きますよ。｣
僕のペンを持ったまま歩いていくアズール。
手は貸してくれないのね。
結構な満身創痍なんだけどなぁ。
行くかぁ、なんて思っていると体がふわりと浮いた。
｢オレが運んであげるねー！｣
｢いっっ！ぅぁぁああっ！？｣
僕を抱き上げたのはフロイドだ。俵担ぎにされたせいで腹の痣が痛い。
｢うるさ。｣
｢フロイド。Aはお腹に大きな痣を作ったばかりですよ。そんな持ち方では傷に障って痛いのだと思います。｣
涙目になってフロイドの背中を叩く。ジェイドも笑ってないで助けてくれ。
本気で痛い。これなら歩いた方がマシだ。
フロイドが歩く度に振動が伝わるせいで響く。
｢あぁ、そっかそっか。｣
忘れてた、と言いながら担ぎ方を変える。
横抱きにされた。ちょっと恥ずかしいがこれ以上文句を言うと機嫌を損ねかねない。
担ぎ方を変えてくれただけ良かった。
医務室に向かう。途中でたくさんの生徒とすれ違い、好奇の目で見られている。
そりゃこんな大きな奴に横抱きにされてれば嫌でも目立つ。
顔に熱が集まるのが分かる。恥ずかしくなってフロイドの胸板に顔を埋めた。
｢なぁにー？はずかしい？｣
ニヤニヤしながら聞いてくるフロイド。分かっててやっているだろう。こいつめ。
呆れ顔のアズール。笑っているジェイド。
止めてくれるやつは一人もいない。
僕は何も言わず、フロイドの腕の中で小さくなりながら医務室まで運んでもらった。
｢失礼します。｣
先頭のアズールがノックをして医務室のドアを開ける。
鼻腔をくすぐる薬品の匂い。
医務室には誰もいなかったため椅子に降ろしてもらい双子が手当をしてくれる。
アズールは先生を呼びに行った。
消毒されて絆創膏が貼られた頬。
左手首にも湿布を貼られる。動かすと痛い。少し腫れてしまっている。
シャツを脱ぎ、上半身を見せる。
大きな痣は目立つが、それ以外にも細かい傷があった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
模擬戦激しすぎん？
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作者名：黒梦 | 作成日時：2020年10月7日 0時
