雨の生き様 【煉獄杏寿郎】

愛しき弟よ ページ23

「待ってください！！」




帰り、裏道を通り家のも者と鉢合わせしないように静かに煉獄家を出たつもりだったが、少し隙を見せていたらしい



「A兄さん！」

『…』


あぁ、神様は残酷だ



「なぜ月に1度必ずここへ戻ってきて下さるのですか！？何故俺とは目も合わせてくれないのですか！？」




目に涙を浮かべ服にしがみつく弟の顔に苦しくなった



「お願いです！何故あの時家を出てしまったのか…理由だけでも…どうか！！」


いけない

何のために冷たくあしらってきたのだ


何のために自分より小さな手を振り払ってきたのだ




なんで俺は今抱きしめてしまっているんだ




「にい…さん」

『…だめなんだ』

「えっ」

『どうか…俺の覚悟を…惑わせないでくれ』




「千寿郎！！！」



「兄上…」



「何故千寿郎の首を握っていたんだ…理解しかねる！！」



俺は気づくと千寿郎の細い首に手をかけていた。
すぐに駆けつけた杏寿郎に頬を殴られそのまま後ろに押された



『…もう俺に関わるな』



振り返っては行けない


前へ歩こう




「A兄さん！！」





さよなら


愛しき弟よ

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