生き残ったもう一人の夜叉【魈】

46 ページ48

「なぜ……A！おい！」


その叫び声に部屋の扉が急に開く



「魈！」

「何かあったのか！？」



空とパイモンが扉を開け部屋に飛び込んできた
その後ろから鍾離が続く



「気をしっかり持て！A！」

『はっ……は』


身体を震わせA自身も今の状況に驚きながらも力が入らず魈に支えられていた



「…身体が崩壊を始めている」

「そんな……どういう事だよ鍾離」


パイモンが鍾離に問い詰めた



「……遅かった」




その一言だけだった





「そんな……そんなっ……」

「まだ、まだ何か無いのかよ！」

「っ」

「鍾離！」

「……すまない」

「そんなっ……」




「A！駄目だ！死ぬな！！」


魈はAを名前を必死に叫び意識を保たせようとする
そんな魈に空が後ろから魈の名前を呼んだ



「……魈」

「空、お前もAの手を掴め！徐々に冷たくなっていく
温めればっ」

「っ……魈」

「帝君、我が仙力を注ぎ込めばまだ……まだっ」

「もうやめろ魈」

「諦めては行けません……諦めては」

「魈」



鍾離は魈の肩を掴む



「もう辞めろ魈」

「っ」


魈は後ろを振り向くと空は下を向き身体を震わせパイモンは涙を流していた



「辞めてやれ」

「我は……我はまだ何も……何も返せてないのです。
Aが生きたいと望んでくれました……やっと、やっと！」

『しょ……ぅ』

「A！」


『……おう……か』

「櫻花？」

『みたい……おねが……ぃ』


魈の胸元の服をつかみ必死に目を開ける




「っ……わかった」

47→←45

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す