最終話 ページ32
「おい! 見ろ、俺たち自慢の北軍リーダーだ」
「今日もかっけーよな、あの人」
「この間なんて一人で他校の奴らぶっ飛ばしちまったって話だぜ」
「てか、見ろよ、あそこ。南軍の松野兄弟だ」
「リーダーの兄弟なんだろ?」
「仲は悪いらしいぜ」
北軍生の声に、顔を上げる。俺の視線の先にはおそ松兄さんたちがいる。
一瞬だけ眼が合ったけど、俺はすぐさま眼を逸らした。
――――あれから。
俺は奴当たった弱井に謝り、見事にビンタを食らった。てっきり、もう幼馴染を止めると言われると思った。
「――――A君、私こそごめんなさい。あなたの事、ちゃんと理解してなかったわ」
本当に、弱井はいい女だと思う。
体育倉庫のことも、一松兄さんと俺が家族にきちんと話し、父さんと母さんが学校に掛け合った。
本当に退学寸前だった。
今までの事を忘れることは出来ないが、今回の事は教師たちが目を配ってやれなかったということで退学は免除になった。
仲間たちとも、兄弟の事を話した。
思った通り、全員「気にすんな」と言ってくれる。伊達に、長い間悪友をしていたんだ。
皆良かったなと、俺たちとの付き合いを忘れんなと言った。
学校の俺と兄さんたちとの関係は、敵対するリーダー同士だが、それ以前に兄弟だ。
切っても切れない縁がある。
失くした時間は戻らないけれど、その分また作り直せばいい。
俺たちはそうして、兄弟の仲を修復していくのだ。
――――そして、俺、は…………。
強靭なんて言葉で塗りたくった自分と、脆弱を隠した自分を捨てた。
俺はもう、独りじゃない。俺を愛してくれない人はいないと分かったから。
「――――A。帰ろうぜ!」
「――――ああ。今、行く」
×××
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れもん - 東郷さんについてこの後兄弟に話したのかとか一松を実は守っていたということに対して兄弟がどのような態度で黒斗に接するのかなど気になる部分は多々あります…書いて欲しかった…。主人公が理不尽な目にあって六つ子が悪役に見えなくもないですが良い作品でした。 (2022年1月21日 22時) (レス) @page33 id: bc2584c695 (このIDを非表示/違反報告)
神野 赤月 - とても泣いてしまいました。いい作品ですね! (2017年8月24日 7時) (レス) id: 1f93e928e5 (このIDを非表示/違反報告)
リュウア(プロフ) - 完結おめでとうございます。占いツクールの小説で物凄く久しぶりに泣きました。作者様にこのコメントが読んでいただけるか分かりませんが本当に面白く、何かを考えさせられる小説でした。とっても面白かったです。 (2017年5月28日 21時) (レス) id: ef6262a277 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - 何か主人公が理不尽すぎる気がします (2017年3月30日 21時) (レス) id: be64f1ec17 (このIDを非表示/違反報告)
ルアルア(プロフ) - いの近さん» コメントありがとうございます!私も、読者さんと同じ気持ちです!素敵と呼ばせてもらえる主人公と松野兄弟が書けて良かったです!最後までありがとうございました。 (2017年1月22日 11時) (レス) id: 095eb051dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルアルア | 作成日時:2016年10月23日 18時