四十三話 ページ3
俺たちが聞いた話によると、俺たちのダチ、要するにAに殴られボコボコにされた奴らは短くて２週間、長くて一カ月半ぐらい入院するらしい。
あのAを止めた一松は、傷の具合はまだマシだが、やはり治るのには相当時間が掛かる。
さらにはあの一件以外にも一松は傷があったので、暫くは痛みに呻く日々になりそうだ。
チョロ松は俺とあのバカ末弟が大喧嘩した以来、小さいことでイラつくことが多くなった。
ま、もともとチョロ松はバカ末弟のこと嫌いだし。
てか、あのイライラしてるチョロ松と同じクラスとか、絶望しか感じない気がする。
俺がカラ松たちと別れて、チョロ松と共に教室に入るとそこそこ仲のいい奴らが来た。
「お前らの弟、問題起こしたんだってな？」
隣でチョロ松が舌打ちをする。今日はいつになく機嫌が悪い。
「そーなんだよー。あのバカ末弟がさあ」
はははと笑う。チョロ松が先に席に着いたのを見ながら、俺はそいつと会話を続ける。
こうしてる間、あのバカ末弟は何してんのかねえ。
×××
「聞いたか！？ 今北軍、やばいらしいぜ！」
そんな話を耳にした。
俺はマスクをつけて椅子に項垂れると、周囲のクラスメイトを見回した。皆北軍の話ばっかだ。
長く細い溜息を吐き出した俺は、先日の一件を思い出していた。
皆がAを悪者扱いするのにはもう慣れている。
昔から、俺たち六人の��悪いこと��はAの��悪いこと��なのだ。
俺たちのした不祥事はすべてAのせい。Aにすべて我慢してもらう。それが俺たち６人の暗黙の了解のようなものだ。
今ならそれが悪かったということが分かる。でも……――――。
子供の頃の俺らなら？
まず間違いなく助かった、だとかラッキーだとか思うだろう。実際そうだった。
卑怯と言えば、卑怯だ。だってアイツ一人だけに全部ブン投げて、兄である俺たちはラクしてさ。
Aはどんだけ我慢したんだろう。
だからこそ、俺はあの時全てをAのせいにした。
アイツはあれを望んでるから。じゃないとアイツはまた自分の事を卑下して逃げるから。
それが、アイツの兄貴である俺の役目、だから。
「――――仲直り、出来ればいいのにね」
×××
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れもん - 東郷さんについてこの後兄弟に話したのかとか一松を実は守っていたということに対して兄弟がどのような態度で黒斗に接するのかなど気になる部分は多々あります…書いて欲しかった…。主人公が理不尽な目にあって六つ子が悪役に見えなくもないですが良い作品でした。 (2022年1月21日 22時) (
レス) @page33 id: bc2584c695 (このIDを非表示/違反報告)
神野 赤月 - とても泣いてしまいました。いい作品ですね！ (2017年8月24日 7時) (レス) id: 1f93e928e5 (このIDを非表示/違反報告)
リュウア(プロフ) - 完結おめでとうございます。占いツクールの小説で物凄く久しぶりに泣きました。作者様にこのコメントが読んでいただけるか分かりませんが本当に面白く、何かを考えさせられる小説でした。とっても面白かったです。 (2017年5月28日 21時) (レス) id: ef6262a277 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - 何か主人公が理不尽すぎる気がします (2017年3月30日 21時) (レス) id: be64f1ec17 (このIDを非表示/違反報告)
ルアルア(プロフ) - いの近さん» コメントありがとうございます!私も、読者さんと同じ気持ちです!素敵と呼ばせてもらえる主人公と松野兄弟が書けて良かったです!最後までありがとうございました。 (2017年1月22日 11時) (レス) id: 095eb051dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルアルア | 作成日時：2016年10月23日 18時
