検索窓
今日:1 hit、昨日:14 hit、合計:54,391 hit

四十六話 ページ6

「訊いてよ、おそ松兄さん」



 片手にスマホを持ったトド松が、俺の教室に来た。


 俺は友達との会話を中断し、我が弟、トド松の元に向かう。


 軽い調子で「どったの?」と訊くと、トド松はアヒル口を少し歪めてうえ、としたくなりそうな顔にしたが、気にしない振りをする。


 スルースキルは俺にも身についている。



「北軍がね、今、大戦争だって」



「ホットウォー? コールドウォー?」



「………ホットウォー。冷戦なんかじゃないよ。大問題になってる」



 俺がふざけたのに、トド松はふざけず至って真面目に返してくるので、つまんねぇ! と文句を言ったが反応してくれない。


 ……兄ちゃん悲しいよ、我が弟よ。



「あー、確か、下剋上だっけ。戦国時代に起きたって言う」



「………うん、まあね。なんかね、一年生が北軍のリーダーであるAが不在だから、イキがってるんだって」



「え? あの一時北軍リーダーの奴は? もう駄目になっちゃったとは言わないよね」



 思い溜息を吐いたトド松は、手元のスマホに視線を移した。


 それから暫く黙っていたが、ふと顔を上げ、「そんなわけないじゃん」と呟いた。



「むしろ逆。最近は一年生の勢力も弱まってるって言うけど、一年生を支持する人は多いらしいよ」



 俺たちはどーなんかなー? と訊くと、トド松は呆れた顔を浮かべたがすぐに笑顔になった。



「安心しなよ、兄さん。もし兄さんの意見に反応するような奴がいたら、速攻ボコしとくから」



 真っ黒い笑みを浮かべたトド松。取り敢えず今のところ心配はなさそうだ。



「でも、いつ僕らも巻き込まれるか分からないけど、警戒しといた方がいいよ。今の北軍生は皆気が立ってるから」



「そう言うお前も気をつけろよ」



「僕には十四松兄さんっていうボディーガードがいるからねっ」



 そう言って踵を返すトド松。


 俺はしょうがねぇなあ、と零しながらトド松の背を見送る。


 ま、トド松には十四松がついてるから、大丈夫だろう。


 俺はまた教室に戻った。



 ×××

四十七話→←四十五話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (103 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
212人がお気に入り
設定タグ:おそ松さん , 喧嘩松 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

れもん - 東郷さんについてこの後兄弟に話したのかとか一松を実は守っていたということに対して兄弟がどのような態度で黒斗に接するのかなど気になる部分は多々あります…書いて欲しかった…。主人公が理不尽な目にあって六つ子が悪役に見えなくもないですが良い作品でした。 (2022年1月21日 22時) (レス) @page33 id: bc2584c695 (このIDを非表示/違反報告)
神野 赤月 - とても泣いてしまいました。いい作品ですね! (2017年8月24日 7時) (レス) id: 1f93e928e5 (このIDを非表示/違反報告)
リュウア(プロフ) - 完結おめでとうございます。占いツクールの小説で物凄く久しぶりに泣きました。作者様にこのコメントが読んでいただけるか分かりませんが本当に面白く、何かを考えさせられる小説でした。とっても面白かったです。 (2017年5月28日 21時) (レス) id: ef6262a277 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 何か主人公が理不尽すぎる気がします (2017年3月30日 21時) (レス) id: be64f1ec17 (このIDを非表示/違反報告)
ルアルア(プロフ) - いの近さん» コメントありがとうございます!私も、読者さんと同じ気持ちです!素敵と呼ばせてもらえる主人公と松野兄弟が書けて良かったです!最後までありがとうございました。 (2017年1月22日 11時) (レス) id: 095eb051dc (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ルアルア | 作成日時:2016年10月23日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。