【18】辛くはないよ ページ19
そんなある日
僕は母にまた許可を得て
外に出た。もちろん狼の姿で。
また父は帰ってきていなかった。
家に帰ってこなくなって3日経っていた。
僕は外で遊ぶのとプラスして
父を探しながら遊んでいた。
ここ最近、ニンゲンも多いようなので
それも警戒しつつ遊んでいた。
ーー
ようやく木の陰から人の姿を
見つけた。ニンゲンではない。
正真正銘、父の後ろ姿だった。
『!父さ…』
バンッ
父｢グッ!!!｣
『…ぇ？』
父の唸り声と共に聞こえてきたのは
バタッという何かが倒れる音。
手が震え脚も震える。
そんな中、木の陰からこっそりと
そちらの様子を見た。
そこに倒れていたのは
狼男の姿をした父の姿だった。
『ｯ!?』
少し離れたところには
20代位の男性二人がこちらに背を向けていた。
肩には猟銃を下げている。
父さんを助けたかった。
声を掛けたかった。
でも此処にいると″殺される″
僕は無我夢中で走り出した。
ーー
家に着くなり母さんに父さんのことを
言った。
そうすると、母さんは驚きを隠せて
いなくて両手で口元を覆っていた。
次の瞬間
こちらに口角を上げて微笑んできた。
母｢貴方のせいでっ…貴方が助けてればｯ!……もういい…貴方も消えなさい!!｣
そう言いながら僕に包丁を突き立ててきた。
『や、やめてｯ!』
僕は母さんを力で押し
家から飛び出した。
あの人は″狂ってしまった″
ーー
｢いたぞ!!!狼だ!!｣
そんな僕の命を狙ってくる奴や
｢あんな所にいたぞ!!捕まえろ!｣
僕を自分の物にしようとするニンゲンもいた。
母さん…その他のニンゲンから逃げ続けて
約４年。
また追いかけ回され逃げ込んだ先は
木が生い茂っている森だった。
不運なことにその森で迷子になってしまい
僕の命を狙っていたニンゲンと会ってしまい
銃で撃たれた。
残された体力で狼の姿になり
その場から逃走する事に成功した。が、
当たり所が悪かったのか
どんどん意識が薄れていった。
ーー
『そんな時にひとらんが助けてくれたんです』
gr｢そうだったのか…｣
『はい…あの時助けてもらわなければ僕は死んでいたでしょう』
tn｢こんな話して辛くないか…？無理してないか？｣
『僕から話すと言ったので辛くはないです。お気遣いありがとうございます。』
ht｢森でそんな事があったのは知らなかった。助けてあげて良かったよ｣
『本当にありがとう。ひとらん』ﾆｺｯ
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作者名：kuromike | 作成日時：2021年7月28日 21時
