【ヒロアカ】だから困るんです【ファットガム】 (ページ3)

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2話ページ3

ー初夏ー
暑いグラウンドで生徒たちは走っていた。持久走なのだろうか、運動部が先頭を走るなか一人の生徒が後ろからごぼう抜きで運動部を抜かしていき一人単独ゴールした。

「こりゃ学年1…いや学校1だな」
汗を拭う生徒に、ジャージを着た先生は言った。そしてその周りにいる生徒たちはざわざわとしている。
「このままいけば、体力は申し分ないな！志望校には充分届くで」
「うっす！」
この生徒こそAA。

水を取りに行くためにAはその場から離れようとすると、生徒たちがAの志望校を聞きたがっていた。それを見かねてか先生が口を開く
「Aは士傑高やで。みんなも見習いや」
「「はーい」」
後はよろしくと言った先生が離れて、生徒たちはAの後ろ姿を見て言い出した。
「意外やんな。てっきり雄英やと思ってた」
「ほんまに。まあ、士傑も西の士傑やし」

(全部聞こえてるわ)
水を取りに行っていたAは全部聞こえてるらしく、眉毛をしかめていた。
(みんな雄英好きやもんな。士傑は校則厳しいからあんま話聞かへんな)
「あの！！」
ペットボトルを取っていた所に可愛らしい女の子が顔を真っ赤にさせてAを見ていた。

「そ、その……Aくんに…これ、渡したくてっ…！」
そこには可愛らしいラブレターのような手紙。
「ありが……」
お礼を言い切る前に女の子は立ち去っていった。Aはその手紙を裏返し、名前を確認した。

††

「また告白されたんか？」
「告白ちゃうけど、ラブレターっぽい手紙貰った」
Aはアイスを食べながら、深いソファに腰掛けて話している。その話している相手はというと初夏なのに熱々のたこ焼きを頬張っている。
「もう夏やから、デートや！デート！」
この相手こそ、BMIヒーローファットガム。ファットガム事務所なのにAは我が家のようにくつろいでいる。
「嫌や」
「反抗期か。よし、お母さんに電話しよ」
「それは卑怯や！」
必死でファットガムを止めるA。
この二人の関係。それは他人でも友人でもない。

親戚だ。
ファットガムの姉の子供がAで幼い頃からファットガムは可愛がった。年の離れた兄弟が出来たような感覚で接して、14年。
Aはファットガムをヒーローよりも叔父さんよりも仲の良いお兄さんのような感覚だった。
学校帰りには必ずファットガム事務所を訪れたり、晩御飯を届けにファットガムの家に訪ねたりしていた。
これが、ファットガムとAの関係だ。